たった5分でわかる『図解 いちばんわかりやすいワインの基本』

2019年6月に初版が発行された本。

著者のTamy氏はイラストレーター、エッセイスト。
ドイツワインの輸入商社勤務経歴を持ち、ワインエキスパートの資格も取得している。

本書は、初心者向けにワインの入門的な内容に触れつつ、品種の選び方や、ワインとよく合うレシピなどをイラスト付きで解説したものである。

ページ数は全体で約240ページ。
初心者向けの知識が過不足なく盛り込まれ、イラストも豊富に使われているため、「最初の1冊」として適した内容となっている。

準備

グラス

ワインは、使うグラスによって香りや味わいが大きく変化する。
そのため、ワインに興味を持ったら、まず揃えるべきはワイングラス。

おすすめは、無色透明で柄や凹凸がなく、上がすぼまったチューリップ型の脚付きグラス。
飲み口のガラスは薄ければ薄いほど良い。

厳密に言えば、ワインの種類によって最適なグラスの大きさや形状は異なるのだが、一般家庭ですべての種類のグラスを揃えるのは現実的ではない。

普段使いのグラスとして筆者がおすすめしているのが、国際規格のテイスティンググラス(INAOグラス)
色・香り・味わいの特徴を掴むために最適化されたグラスで、安価なため、自宅で気軽に扱いやすい。

ワインオープナー

ワインオープナーには、T字型、ソムリエナイフ、ウイング式、スクリュープル、二枚刃式などがあるが、初心者でも簡単に扱えるのは、スクリュープル。
コルクスクリューを差し込んで、取っ手を回すだけで開栓できる。

その他

グラスやオープナーの他に、ワインクーラーやデカンタがあれば、一気にそれっぽい雰囲気が出る。

ワインクーラーはワインを冷やす時に使うもので、デカンタはボトルの底に澱が沈殿しているようなワインから澱を除くために、あるいはワインを空気に触れさせて香りを引き出すために使うもの。
ワインクーラーについては、スチール製やプラスチック製のものが、自宅でも扱いやすいのでおすすめ。

購入

商品の回転率が良さそうなお店を選ぶのがポイント。
高級ワインの場合は、しっかりと品質管理しているお店で買うのが良いが、デイリーワインではそこまで気を遣う必要はない。

スーパー、コンビニ

価格が手頃で、プライベートブランドの商品の中には掘り出しモノもあるため、自宅用には良い。
ただし、保存状態や、アドバイスが受けられない点はデメリット。

ワイン専門店

管理が行き届いている点、店員からアドバイスを貰える点がメリット。
テイスティングできるお店も多いので、味を確かめてから買うことができる。
デメリットは、店舗数が限られていることと、初心者には近寄りがたい雰囲気があること。

インターネット

カテゴリー分けされていて探しやすく、何より手軽なのがメリット。
デメリットは管理環境がわからないことと、夏場はクール便など、配送方法の配慮が必要ということ。

管理

保存

ワインを保存するのに理想的な環境は、暗くて湿度が高く、匂いや振動がなく、温度変化のない涼しい場所。

高級ワインを入手したら、ワインセラーで保存するのがベスト。
ワインセラーを買うほどではないにしても、「良いワインだけどすぐに飲めない」という状況なら、ボトルを新聞紙に包み、箱に入れて寝かせた状態で、床下や押し入れなどの温度変化の少ない暗い場所で保存する。
夏場は冷蔵庫の野菜室などに寝かせておくと良いが、そもそも猛暑の際は自宅での長期保存は推奨されない。

飲み残したワインは、数日間であればそのままでも問題はない。
ワインストッパーか抜栓したコルクで栓をして、冷蔵庫で保存する。

温度

ワインの飲み頃の温度と冷やす時間の目安は以下のとおり。
(室温22℃、冷蔵庫4℃、ワインクーラーは氷水使用を想定)

フルボディ赤ワイン

16~20℃

冷蔵庫で約30分

ライトボディ赤ワイン 14~16℃ 冷蔵庫で約45分
上質な白ワイン 12~16℃ 冷蔵庫で約1時間 or ワインクーラーで約10分
フレッシュタイプの白ワイン 6~11℃ 冷蔵庫で約2時間 or ワインクーラーで約15分
スパークリングワイン 6~10℃ 冷蔵庫で約3時間 or ワインクーラーで約25分

ちなみに、よく言われる「赤は常温で」は、ヨーロッパの地下室などの温度(18℃前後)を前提としているため、日本では常温ではなく冷やしたほうが良い。

ワインボトルに巻きつけるだけでワインの温度を測れるグッズ「ワインサーモメーター」が2,000~3,000円で購入できるため、1つ持っておくのも手。

味わう

順番

複数の種類のワインを飲む場合、白から赤、軽いワインから重いワイン、安いワインから高いワインという順番にするのがセオリー。
王道は、スパークリングワイン→白ワイン→赤ワイン→デザートワインや強化ワインの順だが、各自の適量に合わせて順番を変えたり飛ばしたりするのは問題ない。

料理との組み合わせ

ワインと料理の組み合わせパターンは様々だが、以下のような原則がある。

  • 色を合わせる
  • 味を合わせる
  • 温度を合わせる
  • 産地を合わせる
  • 対極の組み合わせにする
  • 料理に足りないものをワインで保管する

見た目

ワインの見た目でチェックすべきポイントは主に3点

  1. 清澄度
  2. 輝き
  3. 濃淡

グラスを軽く回したときに内側に付いたワインの滴(「ワインの脚」「ワインの涙」と言われる)がゆっくりと流れるほど、アルコール度数や糖度の高いワインということがわかる。

また、ワインの色は熟成度合いによって変化する。
赤ワインは熟成が進むに連れて、赤→ガーネット→レンガ色と、淡い色調になっていくが、白ワインは黄色→黄金色→黄褐色と、濃くなっていく。

香り

ワインの香りは大きく3つに分類される。

  1. 第一アロマ
    果実、花、植物、スパイス、ミネラルなどのブドウ由来の香り。
  2. 第二アロマ
    キャンディ、吟醸香、バナナなどの醸造、発酵で生まれる香り。
  3. 第三アロマ
    バニラ、ロースト、スパイスなどの熟成中に表れる香り。

また、それぞれの香りは以下のように細分される。

フルーツ 柑橘類、白い果実、黄色い果実、赤い果実、黒い果実、トロピカルフルーツ、ドライフルーツ、砂糖漬け
白い花、赤い花
植物 ハーブ系、森林系
野菜 ピーマンやアスパラガスなどのグリーン系、トリュフやキノコなどの土系
お菓子 ブリオッシュ、カスタード、キャンディ
スパイス コショウ、シナモン、八角
ナッツ 胡桃、ヘーゼルナッツ、アーモンド
トースト タール、燻製、コーヒー
動物 ジャコウネコ、なめし皮
ケミカル インク、火打石、火薬
不快臭 濡れた段ボール、カビ、硫黄、酢

1回10~15ml程度の少量を口に含み、舌全体を包み込むように広げる。
まずは口に含んだ第一印象(アタック)の強弱、次に酸味、甘味、渋み、アルコール度、バランス、最後に余韻を捕らえていく。

語彙はある程度決まったものがあるので、テイスティングチェックシートを使うなどして身につける。

アタック 強い⇔弱い
酸味 シャープな⇔円やかな
甘味 豊かな・やわらかな・ドライ
渋味 収斂性のある⇔優しい
アルコール ボリュームのある⇔控えめ
バランス 調和のとれた⇔コンパクトな
余韻 長い(9秒以上)⇔短め(3~4秒)

品種

ワイン選びの基準のひとつである「品種」について、主なものを以下に紹介する。

カベルネ・ソーヴィニヨン

産地 フランス ボルドー地方、アメリカ カリフォルニア州 ナパ・ヴァレー、オーストラリア マーガレットリバー・クワナラ、チリ、イタリアなど
飲む温度 18℃くらい
グラス 大ぶりのチューリップグラス
香り カシス、ブラックチェリー、黒コショウ、インク、トースト、カカオ、バニラ、ピーマン、杉、煮詰めたジャム、なめし皮、トリュフ
相性の良い料理 ビーフステーキ、ビーフシチュー、トンカツなど

世界中で栽培されている品種で、渋味と酸味が豊かなフルボディの赤ワインができる。
ボルドー地方ではカベルネ・フラン、メルローとのブレンドが主流。

メルロー

産地 フランス ボルドー地方、イタリア、アメリカ、チリ、オーストラリア、日本など
飲む温度 16~18℃
グラス 大ぶりのチューリップグラス
香り カシス、ブルーベリー、ブラックチェリー、プルーン、スミレ、ミント、バニラ、なめし皮、落ち葉、杉、クローブ、トリュフ
相性の良い料理 鴨のコンフィ、赤身のステーキ、すき焼きなど

果実味があり、まろやかな味わいが特徴。
カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドが多いが、ボルドー地方のポムロールやサンテミリオン地区ではメルロー100%のワインが生産されている。

カベルネ・フラン

産地 フランス ボルドー地方・ロワール地方、アメリカ、オーストラリア、イタリア、チリなど
飲む温度 14~18℃
グラス チューリップグラス
香り カシス、チェリー、フランボワーズ、スミレ、ゼラニウム、ピーマン、ししとう、茎、ミント
相性の良い料理 ローストビーフ、ハンバーグ、ピーマンの肉詰めなど

カベルネ・ソーヴィニヨンの交配親の品種だが、爽やかで渋味が少なく柔らかな味わい。
カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローに対して補助的に使われるほか、ロワール地方では単一でも使用される。

ピノ・ノワール

産地 フランス ブルゴーニュ地方、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど
飲む温度 16℃くらい
グラス 大ぶりの風船のような膨らみのグラス
香り カシス、チェリー、木イチゴ、スミレ、バラ、紅茶葉、トリュフ、タバコ、シナモン、落ち葉、なめし皮、土
相性の良い料理

牛肉の赤ワイン煮込みなど

味わいはカベルネ・ソーヴィニヨンと正反対で、渋味が少なく、シルクやビロードに例えられる程のなめらかさ。
気候や土壌の影響を受けやすいため、環境によって味や香りが大きく変化する。

ガメイ

産地 フランス ブルゴーニュ地方(ボジョレー地区)・ロワール地方、スイスなど
飲む温度 12~14℃
グラス 中ぶりのグラス
香り カシス、イチゴキャンディ、チェリー、バナナ、黒糖
相性の良い料理 鶏肉のトマト煮、かぼちゃのチーズ焼き、ソーセージなど

「ボジョレーヌーヴォー」で知られる品種のため、新種のイメージが強いが、村名が付くような熟成型の高級赤ワインにも使われており、そちらは複雑で深みのある香りと味わいを楽しめる。

シラー

産地 フランス コート・デュ・ローヌ地方(北部)、オーストラリア、アメリカ、アルゼンチン、チリ、メキシコ、南アフリカなど
飲む温度 18℃くらい
グラス チューリップグラス
香り 黒コショウ、カシス、オリーブ、ユーカリ、鉄
相性の良い料理 ステーキ、バーベキュー、焼肉など

渋味、酸味、タンニンがしっかりとした品種。
オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれ、国を代表する良質な赤ワインが生産される。

ネッビオーロ

産地 イタリア ピエモンテ州・ロンバルディア州など
飲む温度 18~20℃くらい
グラス 大ぶりのチューリップグラス
香り タール、スミレ、鉄、バラ、トリュフ、干しプラム、なめし皮、ブラックチェリー、タバコ、チョコレート
相性の良い料理 ジビエ、白トリュフのパスタなど

酸味、渋味、タンニンが強く、アルコール度数も非常に高い長期熟成タイプ。
イタリアの高級ワイン「バローロ」や「バルバレスコ」に使われる。

サンジョヴェーゼ

産地 イタリア トスカーナ州など
飲む温度 14~18℃
グラス 中ぶりのグラス
香り イチゴ、プラム、ブラックチェリー、スミレ、トリュフ
相性の良い料理 炭火焼ステーキ、トマトのタリアテッレ、サラミ、生ハムなど

酸味とタンニンが多く、果実味が豊かで、濃い赤紫色に少しオレンジがかった色調。
ワイン法や格付けにとらわれないイタリアのワイン「スーパータスカン」はこれとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドで、世界的な人気となった。

テンプラニーリョ

産地 スペイン、ポルトガルなど
飲む温度 16~18℃
グラス チューリップグラス
香り 土、プラム、なめし皮、ブラックベリー、ジビエ、干しイチジク、タバコ、バニラ、中国茶
相性の良い料理 生ハム、牛肉の煮込み、牛肉ときのこのオイスター炒めなど

タンニンは控えめで酸はしっかり、アルコール度数が高めのフルボディ品種。
スペイン全土で広く栽培されている。

ジンファンデル

産地 アメリカ カリフォルニア州、イタリアなど
飲む温度 18℃くらい
グラス チューリップグラス
香り ブラックチェリー、カシス、レーズン、黒コショウ、バニラ、ミント、モカコーヒー
相性の良い料理 ハンバーグ、スペアリブなど

力強く果実味が豊かで、アルコール度数も高いフルボディ。
カリフォルニア州で広く栽培されている品種で、甘口でやわらかな味わいのロゼワイン「ホワイト・ジンファンデル」は、アメリカ国内で人気がある。

カルメネール

産地 チリなど
飲む温度 18℃くらい
グラス チューリップグラス
香り カシス、プラム、モカコーヒー、チョコレート、ユーカリ、ピーマン
相性の良い料理 スペアリブ、ステーキ、ジンギスカンなど

カベルネ・フランが交配親の、酸味や渋味がしっかりとした果実味豊かな力強いワインになる。
原産はボルドー地方だが、現在はチリが主要産地。

シャルドネ

産地 フランス ブルゴーニュ地方、アメリカ、オーストラリア、チリ、南アフリカ、日本など
飲む温度 10~16℃
グラス 中ぶり風船型のグラス
香り 青リンゴ、グレープフルーツ、レモン、洋梨、白い花、ハチミツ、桃、パイナップル、バター、ナッツ、トースト、火打石
相性の良い料理 バターやクリームを使った料理、牡蠣、カルパッチョなど

世界中で栽培されている超メジャー品種。
そこまで突出した個性はなく、栽培地の気候風土や醸造法で様々な味わいに変化する。

ソーヴィニヨン・ブラン

産地 フランス ボルドー地方・ロワール地方、ニュージーランド マールボロ地方、アメリカ、オーストラリア、チリなど
飲む温度 8~12℃
グラス 中ぶりのグラス
香り レモン、ライム、キウイ、セージ、グリーンティ、芝生、ナッツ、ムスク、グレープフルーツ、白い花、ミント、火打石
相性の良い料理 白身魚、野菜料理など

清涼感のあるハーブや柑橘系のスッキリした味わいが特徴。
ニュージーランドのマールボロ地方はこの品種で世界的な評価を獲得。

リースリング

産地 ドイツ モーゼル地方・ラインガウ地方、フランス アルザス地方、オーストリアなど
飲む温度 6~10℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り リンゴ、レモン、ライム、カリン、桃、ミント、白い花、菩提樹、ハチミツ、石油、火打石、洋梨
相性の良い料理 ソーセージ、白身魚のムニエ、天ぷら、ちらし寿司など

ミネラル豊かで酸味の冴えたフルーティな味わいが特徴。
ドイツを代表する白ワイン品種で、甘口ワインのイメージが強いが、辛口もある。

セミヨン

産地 フランス ボルドー地方ソーテルヌ地区(貴腐ワイン)、オーストラリアなど
飲む温度 6~10℃
グラス 中ぶりのグラス、小ぶりのグラス(貴腐ワイン)
香り 黄桃、ハチミツ、アプリコット、パイナップル、洋梨、バニラ、レモン、バター、ナッツ
相性の良い料理 白ワイン:白身魚、野菜料理など
貴腐ワイン:チョコレート、ブルーチーズなど

一般的にはソーヴィニヨン・ブランやミュスカデルとブレンドした白ワインだが、ソーテルヌ地区では極甘口の貴腐ワインが造られており、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイと並び、「世界三大貴腐ワイン」と呼ばれている。

ピノ・グリ

産地 フランス アルザス地方、ドイツ ラインヘッセン地方、イタリア、アメリカ オレゴン州、オーストラリアなど
飲む温度 8~10℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り リンゴ、グレープフルーツ、梨、カリン、パイナップル、黒コショウ、クローブ、ハチミツ
相性の良い料理

鶏肉、豚肉料理、白身魚フライなど

ピノ・ノワールの突然変異種。
アルザス地方ではスパイシーでコクのある味わいが特徴、イタリアではピノ・グリージョと呼ばれ、果実味があるフレッシュタイプのワインが多い。

ヴィオニエ

産地 フランス コート・デュ・ローヌ北部・ラングドック地方、アメリカ、オーストラリア、南アフリカなど
飲む温度 6~10℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り

桃、マンゴー、アプリコット、洋梨、ハチミツ、白い花、シナモン

相性の良い料理 酢豚、中華料理、エスニック料理など

果実味のある華やかな香りで、コクのあるワインに仕上がる。
単一の白ワインに使われるほか、コート・デュ・ローヌ北部ではシラーに対して補助的にブレンドされた赤ワインが造られている。

ゲヴェルツトラミネール

産地 フランス アルザス地方、ドイツ ファルツ地方・バーデン地方、イタリア、オーストリアなど
飲む温度 6~12℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り ライチ、パッションフルーツ、バラ、黒コショウ、シナモン、クミン、紅茶葉
相性の良い料理 エスニック料理、カレーなど

赤みを帯びたピンク色のブドウだが、辛口から貴腐ワインまで幅広く使われる白ワイン品種。
華やかな香りと、スパイシーでオリエンタルな味わいが特徴。

シルヴァーナー

産地 ドイツ、フランス アルザス地方、オーストリア、スイスなど
飲む温度 6~10℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り リンゴ、梨、レモン、桃、白い花、ハチミツ、石、チョーク
相性の良い料理 白身魚のグリル、ポテト料理、ソーセージ、ハムなど

豊かなミネラルとスッキリとした酸味で、辛口ワインが多いが、それ以外もある。
ドイツ中南部のフランケン地方では、「ボックスボイテル」という平たいワインボトルが知られている。

ミュラー・トゥルガウ

産地 ドイツ、オーストリア、イタリア、日本など
飲む温度 6~10℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り リンゴ、グレープフルーツ、梨、レモン、白い花
相性の良い料理 野菜のグリル、カルパッチョ、天ぷらなど

スイスで開発された品種だが、ドイツが主な生産地。
果実味があり、フレッシュで軽やかな味わい。

シュナン・ブラン

産地 フランス ロワール地方、南アフリカ、アメリカ、チリなど
飲む温度 6~10℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り リンゴ、ライム、カリン、桃、白い花、ナッツ、石、パイナップル、ドライマンゴー、パッションフルーツ
相性の良い料理 クリーム系魚介類、茹野菜のマヨネーズソース、グラタンなど

原産地のロワール地方では辛口から貴腐ワイン、スパークリングワインまで幅広く造られている。
ロワール地方では豊かな酸味と爽やかな味わいが特徴だが、南アフリカではコクのある味わいと厚みのあるボディになる。

甲州

産地 山梨県甲府市など
飲む温度 6~8℃
グラス 縦長で口がすぼまったグラス
香り 青リンゴ、レモン、ライム、洋梨、桃、芝生
相性の良い料理 寿司、刺身など

その名のとおり、山梨県が原産、栽培面積最大の品種。
酸味は穏やかでフレッシュな味わいに加え、余韻に心地よい苦みがあるのが特徴。

産地

ワイン用のブドウ栽培に適した条件は次の表のとおり。

エリア 北緯30~50度、南緯20~40度
年間平均気温 10~16℃
開花から収穫までの日照時間 1,250~1,500時間
年間降水量 500~800ミリ

主な生産国(フランスは地方)を以下に示す。

ボルドー地方

  • フランス南西部に位置する、二大銘醸地のひとつ
  • 主要品種は、黒ブドウが「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」「カベルネ・フラン」、白ブドウが「ソーヴィニヨン・ブラン」「セミヨン」「ミュスカデル」
  • 「アッサンブラージュ」と呼ばれる、数種類の品種をブレンドするワイン造りが伝統
  • 「シャトー・ラフィット・ロートシルト」「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・オー・ブリオン」「シャトー・ムートン・ロートシルト」は「ボルドー五大シャトー」と呼ばれ、世界的評価を受けている

ブルゴーニュ地方

  • ボルドー地方と双璧をなす銘醸地
  • 主要品種は黒ブドウが「ピノ・ノワール」「ガメイ」、白ブドウが「シャルドネ」
  • ワインは原則単一品種
  • 地方→地区→村→畑と、冠する名前の範囲が狭くなるにつれてワインの格が上がる

シャンパーニュ地方

  • この地方で栽培されたブドウをブレンドし、ビン内二次発酵で造られた発泡酒のみが「シャンパーニュ」と呼ばれる
  • 主要品種は黒ブドウが「ピノ・ノワール」「ピノ・ムニエ」、白ブドウが「シャルドネ」
  • 一部の良質な年を除き、品質安定のために複数の収穫年をブレンドすることが多いため、基本的にラベルにヴィンテージは記載されない

ロワール地方

  • 北西部のロワール川流域の産地
  • 酸味のしっかりした爽やかなワインが多い
  • 大きく4つの地区に分けられ、それぞれの地区の個性を出している

コート・デュ・ローヌ地方

  • 南東部のローヌ川両岸の産地
  • フランスではボルドー地方に次ぐ生産量

アルザス地方

  • 北東部の産地
  • 地理的にドイツに近いため、ワインもドイツと似ている

イタリア

  • 20あるすべての州でワインが造られ、ブドウの品種も非常に多い
  • 北部ピエモンテ州の「バローロ」「バルバレスコ」や、中部トスカーナ州の「キャンティ・クラシコ」「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」「スーパートタスカン」、北西部ロンバルディア州の「フランチャコルタ」が有名

スペイン

  • 恵まれた環境により、栽培面積と生産量は世界トップクラス
  • テンプラニーリョ種の赤ワインのほか、ペネデスの発泡酒「カヴァ」や、「シェリー」「マンサニーリャ」といった酒精強化ワインも有名

ドイツ

  • ワイン産地の北限に位置する
  • 単一品種の白ワインがメジャー
  • 糖度が格付けの基準になっているため、甘口白ワインのイメージが強いが、辛口は果実味がありキレのある酸味で食事との相性が良い

アメリカ

  • カリフォルニアやオレゴンが主な生産地
  • 主要品種は黒ブドウが「ジンファンデル」「カベルネ・ソーヴィニヨン」「ピノ・ノワール」「シラー」、白ブドウが「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」
  • 単一品種で造られるワインが多く、ラベルに品種が表記されていることが多い

オーストラリア

  • 南緯30度以南が生産地
  • 主要品種は黒ブドウが「シラーズ」「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」、白ブドウが「シャルドネ」「セミヨン」「ソーヴィニヨン・ブラン」
  • 赤ワイン品種のシラーズが高品質で国を代表する品種

ニュージーランド

  • 北島、南島合わせて10の主要なワイン産地があり、ここ30年で生産規模が拡大
  • 主要品種は黒ブドウが「ピノ・ノワール」「メルロー」、白ブドウが「ソーヴィニヨン・ブラン」「シャルドネ」「ピノ・グリ」
  • 冷涼な気候で、酸味のあるワインが特徴
  • 南島のマールボロのソーヴィニヨン・ブランは世界的に評価されている

チリ

  • 新世界の中でもフランス的なワインを造る国
  • 主要品種は黒ブドウが「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」「カルメネーレ」「シラー」、白ブドウが「ソーヴィニヨン・ブラン」「シャルドネ」「セミヨン」
  • アルマヴィーヴァで造るワインは世界的に高い評価

アルゼンチン

  • 害虫が少ないため無農薬に近いワインが造られている
  • 主要品種は黒ブドウが「マルベック」「ボナルダ」「カベルネ・ソーヴィニヨン」、白ブドウが「ペドロ・ヒメネス」「トロンテス・リオハーノ」
  • 中央西部のメンドーサが生産量の70%を占めており、マルベックの赤ワインやトロンテスの白ワインが有名

南アフリカ

  • 南極からの寒流のおかげで緯度の割に冷涼なためワイン造りに適した土地
  • 主要品種は黒ブドウが「カベルネ・ソーヴィニヨン」「シラーズ」「ピノタージュ」、白ブドウが「シュナン・ブラン」「コロンバール」「ケープ・リースリング」

日本

  • 山梨県甲府市に端を発し、現在では長野県、山形県、北海道など各地に生産地が広がっている
  • 主要品種は黒ブドウが「マスカット・ベーリーA」「メルロー」「カベルネ・ソーヴィニヨン」、白ブドウが「甲州」「シャルドネ」
  • 2018年、初めて格付けが登場した

料理

ワインと料理の組み合わせのセオリーについては「料理との組み合わせ」のとおりだが、具体的な組み合わせが掲載されているため、紹介する。
ワインはイオンなどで購入できる低価格帯のものがメインのため、家庭でも実践しやすい。
なお、レシピについては割愛する。

  • イタリアワイン「ヴィラ・モリーノ・ビアンコ」×夏野菜のトマト煮
  • ボジョレーヌーボー×鶏肉の赤ワイン煮
  • スペインワイン「マルケス・デ・テナメルセゲラ・ソーヴィニョン・ブラン」×パエリア
  • フランスワイン「マリー・ルイズ・パリゾ」のカベルネ・ソーヴィニヨンorシャルドネ×ミニカルツォーネ
  • チリワイン「カーサ・スベルカソー メルロー」×味噌カツ
  • イタリアワイン「ノヴェッロ」×ジャーマンポテト
  • 軽めの赤やロゼ×炊飯器で作るローストビーフ
  • イタリアワイン「コープイタリアのワイン(白)」×アスパラのチーズ焼き
  • オーストラリアワイン「レインボー ロリキート カベルネ・ソーヴィニヨン」で作るホットワイン
  • チリワイン「サンタ・ヘレナ・アルパカ シャルドネ・セミヨン」×牡蠣のアヒージョ
  • アメリカワイン「レッドウッド シャルドネ」×鮭のホイル焼き
  • どのワインにも合う、ロブション直伝のじゃがいものピュレ
  • チリワイン「リオ・アルト」の白×サンマのパン粉焼き

まとめ

ワインの基礎や、具体的な品種、産地、料理のレシピが簡単にまとめられた1冊だった。

比較のため、既に紹介した書籍について触れておくと、「図解ワイン一年生」は何から手を付けていいかもわからない未経験向けの書籍であり、「ワインは楽しい!」は最低限の知識がある人に向けて品種や産地、食材との組み合わせについて詳細に解説した書籍である。

たった5分でわかる『図解 ワイン一年生』
『図解 ワイン一年生』の内容と感想を、5分程度で読めるようにまとめました。一冊読む時間がない人でも、この記事を読むことによってエッセンスを把握できます。購入するかどうかの判断基準にもどうぞ。
たった5分でわかる『ワインは楽しい!』
『ワインは楽しい!』の内容と感想を、5分程度で読めるようにまとめました。一冊読む時間がない人でも、この記事を読むことによってエッセンスを把握できます。この本をおすすめできる人についても記載していますので、購入するかどうかの判断基準にもどうぞ。

一方、本書籍については、基礎的事項に最低限触れた上で、品種などを簡単にまとめているため、上記の2冊の中間的な位置づけと言えるだろう。
また、レシピについて詳しく解説している点が特徴的なので、そのあたりが気になる方には手にとってみることをおすすめしたい。

 

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