するどい「質問力」! 「できる人」が駆使している 実践!ロジカル・シンキング

時と場合に応じた質問の仕方とその効果について解説し、「するどい質問力」を読者に身に付けさせることを目的とした本。

著者で弁護士の谷原氏曰く、ビジネスに必要とされるコミュニケーション力や問題解決力、交渉力など、あらゆる能力がこの「するどい質問力」に集約されるらしい。

たしかに質問は、ビジネス・プライベート問わず円滑に会話を進めるためには必須だし、どんな人にも役立ちそうだ。

ページ数としては150ページあまりなので、気軽に読める1冊である。

 

以下、特に役立ちそうな部分を紹介。

質問とは、わからないことを聞くためだけにつかうものではない。

それ以外の目的として、次のようなものがある。

  • 問題を発見、解決する
  • 説得する
  • 相手の考えを誘導する
  • 決断を迫る
  • コミュニケーションを円滑にする
  • 議論に強くなる
  • 自分の主張を明解にアピールする

このような色々な効果がある。

また、聞き方も核心をズバリつく他にも様々なテクニックがある。

5W1H

おそらく知っている人がほとんどだろうが、5W1Hとは、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)のことだ。

上記フレーズを用いることによってオープン・クエスチョンを形成することができる。

オープン・クエスチョンとは、相手に自由な答えを促すことができる質問である。
相手が自由に回答できるので、話を展開させたい場合に適している。

例えば、次のような感じ。

今朝何を食べましたか?

今朝はご飯と漬物を食べました。

漬物ですか。珍しい。どこかに良いお店が?

ええ。地元で良いお店を見つけたんですよ。

~以後、会話が展開~

 

 

逆に、展開させるのではなく収束させたい場合にはクローズド・クエスチョンを用いると良い。

クローズド・クエスチョンとは「はい」「いいえ」のように答えを限定した質問だ。
想定の範囲内の答えを引き出せるので、営業場面で答えを限定して迫りたいときや、上司が状況を即座に把握して、部下に明確な支持を出したいときに使用することになる。

一応、具体的な場面を書くなら、次のような感じ。

佐藤さん、今度のプレゼンの資料はもうできましたか?

いいえ、まだです。

では明日の正午までに仕上げておいてください。

~おわり~

 

このように、会話の目的に応じてオープンとクローズドを使い分けるのが有効である。

相手の話を引き出すために

冒頭にも書いたが、いきなり核心をつくだけが質問ではない。

というより、いきなり質問をしまくって(されまくって)時間がすぎるようなシチュエーションは面接くらいだろう。

質問の仕方もさることながら、「答えやすい雰囲気作り」も重要な技術である。

例えば2人が同じ内容を質問してきたとして、片方は自分のことをよく勉強してきてくれた人、もう片方は何も準備せずにただ質問だけしている人だとする。
どちらの質問に気持ち良く答えられるかは言うまでもないだろう。

だから、上手な聞き手は質問前に相手のことを徹底的に勉強する。
ブログやSNSを読んだり、周囲の人から情報を仕入れることによって、相手を深く知り、好意を抱いた上で質問に臨むのである。

好意を獲得するために

心理学者のロバート・B・チャルディーニいわく「人は好意を抱いている知人からの依頼には『イエス』と言いやすい」

例えば、同じような保険を売り込んでくる営業のAさんとBさんがいたとして、Aさんの方が好みだったらAさんと契約しようと考える。

質問もこれと同じで、好きな人からの質問には喜んで答えるが、嫌いな人からの質問には答えたくないものだ。

逆に言えば、質問の成功率を上げるには、相手の好意を獲得しておくことが有効な手段となる。

そのための方法として、チャルディーニは次の5つを挙げた。

  1. 外見の魅力
  2. 類似性
  3. 賞賛
  4. 単純接触効果
  5. 連合

1~3は字のとおりなので割愛する。

4は、「繰り返し接触している人を好きになる」ということだ。
ちなみに人ではないが、CMをバンバン流すのも、単純接触効果を狙ってのことである。

5は、「好ましいものと結び付けられた人を好きになる」ということだ。
例えばあなたがステーキが好きだったとして、それをたまたま一緒に食べている人が「このステーキ美味しいですね」と言えば、あなたはその人を好きになる可能性が高い。

「自分を尊重してくれている」と感じさせる

人は自らの自尊心を満たしてくれる人を好きになる。

そのためには、相手が聞いてもらいたいことに関する質問をするのが有効だ。

そういった質問をするためには、上に書いたことに通ずるが、あらかじめ相手のことを予習しておくのが手っ取り早い。
相手の趣味等を把握した上で、自然な感じにそちら方面に話題を持っていくのは良いテクニックで、僕もたまに使う。

しかしこれは意外と難しい。
例えば相手の趣味がバックギャモン(世界最古のボードゲームと言われているゲーム)だったとして、飲み会の席で自然にバックギャモンの話を持ち出せるだろうか。

おそらく無理だろう。

だが、それで諦める必要はない。

基本的に人は自分が話したいことを話題に挙げたがるものだ。
なので、多くの場合、あなたが話題を振らずとも、本人がその話題を持ち出すことは多い。

例えばこうだ。

「最近、ボルダリングにハマっていてね」

絶好のチャンス到来である。
ここで間違っても

「へーそうなんですね」

などと無関心バレバレな返答をしてはならない。

実際の興味の有無に関わらず、ここで返すべき言葉は

「ボルダリングって最近流行ってるみたいですね!どんな感じなんですか?」

といった類の質問だ。

つまり、「私はあなたがハマっていることに興味を持っていますよ」というアピールをするのである。
これさえ済めば、後は相手が堰を切ったようにしゃべるので、相づちを打って共感を示せばいいし、場合によってはメモを取ってもいい。

とにかく、相手が話したいことを話させるのが重要だ。

前置き

質問は、人間関係を築く上で重要なアクションだが、初対面の人や上司にいきなり質問をぶつけるのは相手が気分を害する恐れがある。
そんなときには前置きを使う。

例えば、

「会ったばかりで恐縮なのですが、ひとつ気になることがあって、うかがってもよろしいでしょうか」
「お忙しいところ恐縮ですが、質問してもよろしいでしょうか」

など。

実際のところ、そのように聞かれて断る人はまずいないだが、形式的には相手が承諾しているので、相手としては質問に答えなければならないという心理的強制が働くことになり、スムーズに会話を進めやすい。

逆に、不祥事の追及などの場面では前置きは使わない。
相手に余計な余裕は与えず、核心をつく質問を立て続けに行うべきだ。

「なぜ」の多用には注意

前述のように、「5W1Hを軸にして聞くこと」は有効な質問方法だが、「Why」に関しては多用しないように気をつけるべきである。

というのも、「Why=なぜ」という質問は、答えに論理性を要求するので、相手が苦痛を感じる傾向があるためだ。

例えばこう。

最近フットサルがマイブームなんだ。

なんでですか

(えっ、なんで?マイブームに理由求めるの・・・)

気軽にできるし、仲間とのチームワークが感じられるからだよ。

なぜ仲間とのチームワークを感じられるのが良いのですか

(えっ、俺なんか気分を害すること言った?)

一人では得られない達成感が味わえるからかな。

(あぁ、つかれる・・・)

このように、相手を疲れさせてしまうので、多用には要注意だ。

逆に、論理的に考えたいときには相手や自分に対して、「なぜ」という問いかけを続けるのが有効である。

誘導尋問

特に営業力などにいかされるであろうテクニック。

本来質問しておくべき事項を別の質問の前提としてすべり込ませることによって、相手の思考を自分の都合の良い方向に誘導するもので、記憶とは異なる証言を引き出しやすいので裁判では禁止されているらしい。

つまりそれだけ強力なテクニックということ。

例えばデパートにスーツを買いに行ったとき、本来であれば
「どのスーツになさいますか?」
と聞くところを
「お支払い方法はどうなさいますか?カードも使用できますが、現金の場合は5%オフでご案内しております」
と聞く。

そもそも買い物に来た人は、良いスーツがあれば買うし、特に気に入るものがなければ買わないのだが、上記の質問をすることによって、思考が「現金で払うか、カードで払うか」に持っていかれ、スーツを買うことは前提となってしまう。

裁判では禁止されている誘導尋問も、日常生活では多用されている。
有効活用するとともに、逆に、警戒も怠らないようにしたい。

 

一部を紹介したが、他にも様々な方法が紹介されているので、営業や交渉を有利に進めたい人にはおすすめだ。


 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました