9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方

9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方 読書

2010年11月に初版が発行された本。

著者の福島文二郎氏は、東京ディズニーランドがオープンした1983年に第1期の正社員としてオリエンタルランドに入社し、2007年に退社するまでにいくつもの教育部門を担当してきた。

本書では、福島氏がディズニーで培った経験をもとに、後輩・部下のコミュニケーション能力やモチベーション、自立心・主体性を育むための手法について書いた書籍である。
ページ数は約210ページで、ディズニーでのエピソードが具体例として豊富に盛り込まれている。

教える側の準備

部下や後輩に効果的な教育を施すためには、まず彼らからの信頼や尊敬を得ていなければならない。
これは教育手法などの細かい点よりも優先されるべき事項である。

具体的には次のようなことに気をつけたい。

◎理想の上司・先輩 ✕最悪の上司・先輩
  • リーダーシップを持っている
  • ゲスト(お客様)や後輩をよく見ている、よく声をかける
  • 困っている人がいれば、すぐに声をかけ、手助けをする
  • 改善点を見つけたら、すぐに改善にとりかかる
  • 自分のことしか眼中にない
  • 言うことと、やることが違う
  • 面と向かって注意しない

これらが守られて初めて、教育が効果的なものとなる。

育成のときに欠かすことができないポイントとして次の3つがあげられる。

  • 教える内容・教え方が論理的(効率的)であること
  • 心理的な工夫が施されていること
  • 教育に熱意を持っていること

また、会社(団体)の行動指針をきちんと把握し、それに沿った優先順位の付け方をすることが大切。
行動指針が定められていない場合には創業理念やトップの行動を参考にすると良い。

そして、人は自分がされたように他人にもするということを心しておく。

例えば、教育者が部下や後輩に対して失礼な態度を取れば、彼らが教育側になったときに同じ態度を取るし、「見て覚えろ」と言って突き放したりすればやはり将来同じ行動をする。

育て方を間違えると、会社全体として損失を被るということを覚えておかなければならない。

信頼関係の構築

先述のとおり、相手と信頼関係を構築できていなくては、せっかくの教育もそれほど効果を発揮しない。

そのために大切なことのひとつが、「リーダーシップをもって接する」ということだ。
それによって、後輩や部下との信頼関係が深まり、彼らもリーダーシップを持ちたいと願い、身につけていくようになる。

リーダーシップに必要な要件は2つ。

  1. ホスピタリティ・マインドを持っていること
  2. 自分が規範となること

1については、ホスピタリティ・マインドよりスキルの教育を実践する会社が非常に多いが、スキルというのはホスピタリティ・マインドを持った上で習得して初めて相手からの信頼を得ることができるものなので、注意したい。

そして、相手に「いつも見てくれている」と意識させることも大切。
でないと、評価するシーンなどで「何も見ていないくせに」と思われてしまう。

「見てくれている」と感じさせるためには、何か感じたらすぐに声をかける、声がかけられない状況であればメモを渡す等の工夫をこらしたい。

また、人事考課や評価は、公平感・納得感があるものでなければならない。
これらが欠けていると、最悪の場合、仕事拒否や退職などの事態を招きかねない。

評価の際は、成果も大切だが、後輩の頑張りを、先輩として認めてあげることも、後輩との信頼関係を築く上では大切。
最善を尽くす姿勢を評価し、成果ではなく行為自体にスポットを当てて声をかけるのもときには有効である。

コミュニケーション能力の向上

コミュニケーション能力が高いということは、良好な人間関係を構築する能力が高いということである。
良好な人間関係の構築は、「ストローク(相手の存在を認める行為)」が基本中の基本となる。
先述の、いつも見ている、マメに声をかけるといった行為もストロークのひとつ。

また、思いやる気持ちを育てるためのルール作りが有効。
例えばディズニーでは、

  • 明るく元気のいい挨拶
  • 相手の存在を認めるアイコンタクト
  • 職場全体を明るくする笑顔

の3つがルールとして定められている。
当然だが、思いやるだけではなく、そこに行動がプラスされて初めて相手に伝わるということに気をつけなければならない。

価値観の共有も良い人間関係の構築には重要である。

心理学的に言うと、人間には「自己認識」と呼ばれる部分と「他者認識」と呼ばれる部分がある。
「自己認識」とは自分自身で感じている自分のことで、「他者認識」とは他人が知っている自分のことを指すが、これらが一致している部分を「自己理解」と言う。
つまり自己理解は価値観を共有している部分である。

良好な人間関係を築くためには、「自己理解」の範囲を広げると良い。
ここでのポイントは2つ

  • 自分の情報を自ら積極的に発信する
  • 相手の情報を積極的に収集する

これらの積み重ねが、価値観の共有部分を広げ、互いの理解を深めることになる。

社内での情報収集であれば、部下や後輩との対話がメインになるが、その際に注意しておくべきことが2つある。

  1. 相手が安心して話せる場所を選ぶ
    例えば相手が人に聞かれたくないような話をしなければならないときは、人目につかない場所を選択するなどすると、余計な不安や心配を感じさせずに済む。
  2. 相手がどういう状態であるかを把握する
    心身ともに充実した状態か、それとも疲弊した状態かによって対応を変えることが必要。

モチベーションを高める

仕事の質を高め、それを維持していくためには高いモチベーションが必要となる。

そのために必要なことは次のとおり

  • 笑顔溢れる職場環境
  • 仕事の重要性を認識させる
  • 誇りを持てる環境作り
  • 指示には必ず理由を添える
  • 良い点はすぐに褒める

自立心・主体性を育てる

主体的に動いてもらうためには、まずは自信を付けてもらわなければならない。
しかし、必要なマインドやスキルをトレーニングで伝えれば、すぐに自信をもって仕事に取り組めるようになるかというと、そういうわけでもない。

マインドやスキルに加えて必要になるものとして、フィードバックがあげられる。
自分の仕事に対して良い反応が返ってきたとき、自分の仕事の正しさを実感することができ、自信を持つことができる。

そして、職場においてフィードバックをする役割を担うのは、指導役となる上司や先輩、あるいは同僚である。
その際は、単調に褒め讃えるだけではなく、改善点なども指摘してあげると、「見てくれている」と相手が実感するので効果が高い。

また、自立のチャンスを与えてあげる仕組み作りも重要である。
具体的には、上司・先輩が部下・後輩の自主性を尊重する姿勢・器量を持つことが必要となる。

基本的な方向性やルールについては、しっかりと見て、逸脱したときにはきちんと注意することが必要だが、細かい部分については自由に考え行動できる裁量を与えることも大切である。

まとめ

人材育成に関する初歩的なことが書かれた本だった。

ちょっとした心がけや行動についての話がメインで、特別な準備等はいらないので、指導する立場にある方は一度目を通してみると良いのではないだろうか。

 

 

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