たった5分でわかる『アマゾンで学んだ!伝え方はストーリーが9割』

『伝え方はストーリーが9割』の表紙画像 コミュニケーション

2019年8月に初版が発行された本。

著者の小西みさを氏はソフトバンクやセガなどの企業で10年以上の広報経験を経た後、2003年にアマゾンの広報責任者に就任。
13年間、アマゾンで広報活動に携わり、現在ではPRコンサルティングを行う会社、AStory合同会社の代表を務めている。

本書は、企業メッセージを発信する立場の人や、自らのプレゼン、面談、報告などに課題を感じている人に向けて、筆者がそのキャリアの中で培ってきた「伝え方」を伝授している本である。

ページ数はあとがき等まで含めて約250ページ。
アマゾンでの具体的なエピソード等が豊富に盛り込まれているため、比較的読みやすい本となっている。

ストーリーで伝える

広報等の活動に携わる筆者が重要視しているのが、「ストーリーで伝える」ということ。
これは、言い換えるならば、伝える人と受け取る人がイメージを共有しやすい話の構築を行うということである。

アマゾン創業者にしてCEOであるジェフ・ベゾス氏はストーリーで伝えるのが非常に上手な人で、その根底には「どうすればお客様と長期的信頼関係を築けるか?」という視点がある。
それによって定められた一種のルールのようなものは、広報本部をはじめとしたすべてのアマゾン社員に浸透している。

その特徴は以下のとおり

  • 具体的に語る
  • 例え話を頻繁に使用する
  • 伝えたいポイントを絞る
  • 相手に関係のない話はしない
  • 不明瞭な数字を出さない
  • 時間を感じさせる話をする
  • 非があると感じたら潔く謝る
  • 何度も同じ話をする

中でも一番大事なのは「何度も同じ話をする」ということ。
メディアや、その先にいるお客様と長期的な信頼関係を構築するためには、自分たちの伝えたいことを、相手が受け取りやすい形(ストーリー)で、ブレずに一貫して、何度も伝える必要がある。

この「量より質を重視する姿勢」は、アマゾンに限らず、どの企業でも大事にしたいポイント。

ストーリーの構築

ストーリーを構築するためのコツは以下の3つ

  1. 対象となる相手にヒアリングして、リアルなシチュエーション(使う人がイメージできる光景=ゴール)を設定する
  2. 設定したゴールから逆算してストーリーを考える
  3. 対象を絞って、「自分に関係があること」と思ってもらえるようにする

ストーリー構築の際も、特定の人と長期的信頼関係を築くという、最も重要な目的を忘れてはならない。

メディア対応

PR関連の役職に就いている人の主な発信対象のひとつがメディア。
メディアにアプローチする際には注意すべき点が3つある。

  1. メディアの人は多忙
    メディアの人は日々、厳密な締め切りに追われている上、取材オファーがひっきりなしに届いている。その状況に配慮し、本質的な情報を端的に伝えなければならない。
  2. 個人レベルで興味・関心が異なる
    同じメディア内でも、担当によって専門が異なるため、過去の記事やSNS等を確認して、担当者名・ライター名を特定し、その人にダイレクトにアプローチをかけるのが効果的。
  3. 量より質
    1と2からわかるように、できるだけ多くのメディア関係者にこまめに情報を流そうとするのは逆効果。「特定の人と長期的信頼関係を構築する」ことを重要視する。

上記の注意点を踏まえた実際のアプローチとしては、「適切なタイミング」で、「相手が喜びそうなネタ」を、「3~5行にまとめて」、個人名宛のメールで送信するのが良い。

「適切なタイミング」は季節性と、相手の締め切りまでの猶予を考慮に入れて推測する。
「ネタ」だが、同じネタであっても相手や伝え方によって強いネタにすることが可能だし、工夫しても強くならないネタなら見送るくらいでもいい(量より質)

メールを送る際には、

  1. 電話で印象に残るテーマを伝達
  2. アドレスを入手
  3. メールでフォロー

という流れがベストだが、それが困難であれば、会社の問い合わせ先に宛名を書いて送っても良い。

アプローチに成功し、取材を受けることになった場合だが、メディアの人は以下の4つの質問を必ずしてくる。

  1. なぜ今なのか(季節性、時事性)
  2. 何が新しいのか(新規性、意外性)
  3. 何が他と違うのか(独自性)
  4. なぜ御社なのか(理念、理由)

これらの質問に対して、裏付けとなるデータを提示しつつ明確に説明できるかどうかが、PR成功のカギとなる。

メディア以外のステークホルダー

メディア以外の相手にPR活動を行う場合の注意点について。

お客様

まず、お客様がPRを「自分事」としてとらえてくれる場面を想像することが大切。
それを踏まえて先述のとおり、ストーリーを逆算し、構築する。

商品サービスの開発者自身が、対象を絞り切れていない場合も数多く見受けられるが、その場合にはPR担当者が特定の対象を適切に設定することになる。

また、構築したストーリーを「誰が」語るかということも重要。
知識や経験を持った、説得力のある人物を立てるように心がける。

取引先

取引先に対しては「一緒にお客様の満足度向上を追求する同志である」というスタンスを取ることが大事。

何に共感してもらうか(例:安心・安全の仕事環境の創造、イノベーションを起こすための惜しみない投資)、何でつながり合うかといったことをあらかじめ社内で決定しておく必要がある。

株主

株主は期待することは、突き詰めると「株価が上がること」に他ならない。
長期的信頼関係を築くという観点から、一過性の株価上昇ではなく、持続的な上昇を目指し、そのために何を行うかというメッセージを端的に発信することを心がける。

セルフPR

PRは企業に限ったことではない。
個人も自らの強みを把握し、PRする機会がある。

強みを見つける

企業であれば、理念、人、商品・サービス、設備、環境・立地を洗い出し、唯一無二の存在であることを示すストーリーを構築すれば、それがPRとなる。

個人の場合でも、要素は変わるものの、そのプロセスに大きな変化はない。
自らの価値観、友人・知人・家族、趣味・特技、持ち物、環境を洗い出し、つなげると、自分だけのストーリーができあがる。

構築したストーリーに「だから、私は〇〇ができる」という言葉を添えれば、自己PRは完成する。

洗い出しの際には、「知り合いの知り合いも自分の強み」「過去も未来も自分の強み」「一見弱みに見えるものもまた強み」という風に最大限に広げて考えるのがコツ。

また、自らの強みを自分で発掘するよりも、人に聞いてしまう方が効果的。
「どんなタイプの人間か」「どんな特徴があるか」「どんな場面で役に立ったか」などを周囲の人に気軽に聞いてみると良い。

強みを創る

どうしても自分の強みが見つからないのであれば、今から創ればいい。

周りがあまりやっていないことで、自分がやってみたいと思えること、さらにそれによって誰かが喜んでくれると思えることがあればそれを気軽に始めてみると良い。

「周りがあまりやっていないこと」は、ある時点、あるひとつの事柄に絞ると少ないかもしれないが、「コンプリートする」「継続する」「組み合わせる」「異なる方法や手段を選ぶ」といった工夫によりいくらでも差別化は可能。

伝える

PRが決まったら、いよいよ伝える段階になる。

場面は、スピーチ、講演、質疑応答、説明会、訪問営業など様々だが、いずれにせよ「どんな状況であっても、伝えたいことの骨子は必ず自分で整理し、作成する」ということが非常に重要。
これができていないと、政治家にありがちな、しどろもどろな受け答えや、通常ならあり得ないような間違い発言をするリスクが高くなる。

また、専門用語をできる限り使わないということも心がける。
「同じ業種・業界だから同じ意味でこの言葉を使っているだろう」という思い込みも避けなければならない。

そして、練習は必ず何度も行う。
何度も練習を重ねれば、たとえ緊張しても、言いたい骨子を忘れるようなことはない。

スマートフォンで動画を撮り、見返し、客観的な視点で改善点を見つける。
他の人にアドバイスをもらうのも有効。

ポイント

  • 業務報告や進捗報告では、難しい質問や細かい質問が出てきやすいため、想定できる質問をすべて書き出し、答えを事前に準備しておく。
  • 面接を受ける際には、双方向の会話を意識して、質問や確認をはさみながら受ける。
  • メールでは、相手にネガティブな感情を生じさせる言葉はできるだけ使わない。否定する場合には言い回しを工夫するように特に注意する。

まとめ

相手の立場に立ち、長期的信頼関係を築くという意識の下、効果的なPRを行うために必要とされる行動について、わかりやすく解説された本だった。

本記事では割愛しているが、アマゾンに関する具体的なエピソードが豊富に盛り込まれているので、興味のある方には手に取ってみることをおすすめしたい。

 

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