2010年出版の本。
著者は外資系の証券会社、製薬会社、老舗宝飾品ブランドの社長秘書などで勤めてきた経歴を持つ。
また、日本人では数少ない上級米国秘書検定(CAP)の合格者でもあるらしい。
とは言ってもよくわからないので、公式サイトで調べてみるとManagement、 IT、 会計など、多岐に渡る専門知識が必要ということで、なるほどたしかにすごそうだ。
まあ、日本人の合格者が少ない最大の要因は、ネイティブレベルのビジネス英語力が必要だという点な気もするけど。
そんなすごそうな著者が執筆したこの本、実は読んだのははるか昔。
おそらく僕がまだ学生だったとき。
2019年の今でも大いに役立ちそうなので読み直してみた。
本書はタイトルにあるとおり、「気がきく」と言われる(≒信頼される)ようになるために実行すべき45の習慣が書かれている。
また、巻末には冠婚葬祭や贈り物などに関するマナーがまとめられている。
ページ数も全部で200ページ以下なのでかなり読みやすい本である。
以下、特に印象的なものを紹介。
尊敬する
相手をリスペクトすることによって、「相手ありき」の態度が取れる。
人間、下心を捨てるのはなかなか難しいことだが、「○○されたいから」という気持ちが前提にあるようではダメ。
先読みする
デキる人、信頼されている人は常に一歩二歩先を読んだ行動をしている。
それによって、他人に無駄な行動をさせることがなくなり、安心感を与えることができる。
タイミングを読む
大事なのは「何を」するかよりも「いつ」するか。
やること自体は本当に些細なことで良いのだ。
というより、大げさなことをすると相手が気疲れしてしまうのでむしろ良くない。
それに、自分自身もお金や時間がかかってしまうので長続きしない。
小さな変化に気付いて、適切な行動をすることが大事。
例えば咳をしていたら手持ちののど飴を1個おすそ分けするとか、グラスが空きそうだったらドリンクメニューを渡してあげるとか、その程度。
その積み重ねが信頼へと繋がる。
誰にでもフェアに接する
「フェア」であることが、信用を得るために一番重要と筆者が言っているが、僕も本当にそのとおりだと思う。
弊社にもいるし、多分そこそこの規模以上の会社や団体ならおそらくいるんだろうが、相手によって言動を変える人間がいる。
例えば、上司には媚びるくせに部下には横柄な人間とか、異性にばかり親切にする人間とか。
横柄な態度を取られた側がその人のことを信頼するはずがないのはもちろんだが、悪い噂というのは広がるのが早いもの。
親切にされた人間も最終的には「上司だから」「男/女だから」ってだけなのね、と気付いて離れていってしまう。
聞くときはじっと聞く
コミュニケーションが苦手という人にありがちなのが、話すのが苦手という意識。
かくいう僕も話すのは結構苦手な方なのだが、これはおそらく「自分の話、相手に取って面白いんだろうか」「自分の話を聞いてみんな自分のことおかしいと思ってるんじゃないだろうか」なんていう邪推が働くからというのが大きいと思う。
だから、気心知れた仲で共通の趣味について話すときなんかは、なんの苦労もなくペラペラ喋れたりする。
しかし、対して仲良くもない、例えば会社の人と話すときは急に尻込みしてしまったりする。
だが、話すのが苦手だからコミュニケーションに不利ということはあまりない。
相手に話させればいいからである。
大事なのは”何を話すか”ではなく、むしろ”何を聞くか”。
会話というのは上手な聞き手がいるだけで成り立つものである。
新しい環境ではキーパーソンを見つける
職場の雰囲気を作り上げているような、強い影響力を持っている人を見つけ、その人をリスペクトする。
ここで大事なことが2つ。
1つ目は、媚びを売るのではなく、リスペクトをするということ。
媚びを売るようなマネはアンフェアな接し方となり、周囲の不信感を招く。
2つ目は、相手に何か受けた後ではなく、してもらう前にこちらが動くということ。
内容はそんなに大げさなものでなくてもいい。
先に述べたような気のきかせ方や、ちょっとした贈り物など。
余計なプレッシャーを抱えない
失敗したらどうしようなどということをいちいち考えていても仕方がない。
失敗への不安から、プランをガチガチに固めてしまうと、むしろ不足の事態に対応できなくなる。
プランの根幹となるようなことを決めておいて、あとは臨機応変に対応する方が良い。
そもそも本来の目的は「失敗しないこと」ではなく、いかに「相手を楽しませるか」「相手に伝えるか」
この意識を忘れてはならない。
初対面でも沈黙を恐れない
読んで字の如しだが、僕も実践している。
沈黙が訪れたからといって、無理に急いでしゃべる必要はない。
もちろん、あなたが沈黙を楽しい空気に一瞬で変えられるような話術を持っているなら別だが、そうでないなら先に述べたように、相手にしゃべらせて自分は適切な質問をすればいい。
もっとも、みんながこの本やこのブログを読んで、相手の話待ちになると困る。
そんなときのためにとりあえずの話題として役に立つのが「きどにたてかけし」
気候、道楽(趣味)、ニュース、旅、テレビ、家庭、健康、仕事の頭文字を取ったもののようだ。
ところで、これは僕の意見だが、若手社員の中には「飲み会でまで仕事の話なんかしたくねえよ!」と考えている人が少なくない。
特に部下や後輩と飲む方々には、話題がないからといって「し=仕事」の話題を積極的に採用することには気をつけていただきたい。
キッパリと断る
断ること自体は、何ら悪いことではない。
ちゃんと理由を告げて断れば普通の相手は納得する。
もしそれで逆上するような人間なら、距離をとって無難な付き合いをしていけばいい。
むしろマズいのが「YES」か「NO」かわからない態度や「ドタキャン」である。
例えば懇親会の出欠連絡に際して「行けたら行く」などと言って結論を出さず、幹事が直前にリマインドをして初めて「行けない」などと言う人を見かけるが、最悪である。
当人がどういうつもりであれ、誘った側は「元々行く気がないけど、保険として選択肢を残しておいたんだな」と考えるので、注意してほしい。
本当に「行けたら行く」つもりがあるのなら、保留にしている理由を伝えるべき。
仕事や勉強は朝にやる
見出しとして使われているのでそのまま記載したが、正直なところ、僕はこれには賛成しかねる。
早朝の方が頭が冴えていて、効率的に動けるからというのが理由だが、多くの人がそうだからといってあなたもそうだとは限らない。
じゃあなぜこれを載せたかというと、資格の勉強法に関する記述が役に立つと思ったから。
その勉強法は
- いきなり過去問を解く(全然解けない)
- 間違えたところをテキストで復習し、テキストに気付いたポイントなどを書き込む
- 1と2を繰り返す
- その結果、テキストに書き込みがない箇所は不要だから切り捨てる
1~3はわりとよくある勉強法なんだけど、4は「たしかに!」と感心させられた。
もちろん1~3を実践する中で4はおのずと達成されるわけだが、あまり意識することはない。
ただ、出題頻度を可視化できるという点で非常に有用だ。
そして、資格試験は満点ではなく合格点を取ることが目的なので、非常に理にかなっている。
本項は資格試験について書かれてはいるが、合格点を取るという心意気はその他のことにも応用できる。
仕事を最初からパーフェクトにこなす必要はない。
時間がかかるし、気疲れしてしまうので長続きしない。
そもそもパーフェクトかどうか決めるのは自分ではないので、自分がパーフェクトだと思って期限ギリギリで出したものが、結果的に及第点にすら達していないリスクすらある。
そんなことになるくらいなら、途中経過でも、早めの報告をした方が喜ばれるというものだ。
最初に読んだときから5年以上経っていて、ほとんど初見という状態だったが、スラスラと読むことができた。
あまり時間がなくても読めるので、仕事、プライベート問わず人付き合いがある方にはぜひおすすめの一冊である。
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