脱サラし、ブロガーとして生計を立てることに成功した筆者が、ブログで稼ぐためのノウハウや心構えを綴った本。
タイトルの「ブログ飯」はお笑いコンビの「笑い飯」に発想を得ているとのこと。
僕はブログ1本で飯を食っていく気はない(著者もそれは勧めていない)が、同じことをやっているならお金が入るに越したことはないし、いつ会社が倒産するかわからないこの時代、給料以外に収入源があると安心できると思い、読むことにした。
本書で綴られているのは、SEO対策のような小手先のテクニックというよりは、もっと普遍的なテクニックやマインドに関する事柄である。
SEO対策などは時代やシステムが変わることによって通用しなくなってしまうものだが、磨いた能力や考え方は常に役に立つ。
出版から6年が経った今でも本書が読まれているのは、そういった面について綴ってあるからこそだと思う。
ただのブログから稼げるブログへ
本書で描かれるビジョンは、
- ただのブログ
- 稼げるブログ
- 飯が食えるほど稼げるブログ
- ブログ以外にも収入源をつくる
である。
本書の第二章では、ⅰ⇒ⅱにステップアップするために考えるべきことが主に述べられている。
それは、
- 何を書くのか
- 何のために書くのか
- なぜ自分がそれを書く必要があるのか
- 誰に伝えたいのか
- どのような表現手法で分かりやすく伝えるのか
この5つだ。
何を書くのか
これを熟考する必要があるのは、どんなブログでも継続しなければ実績は出せないためである。
そして継続するためには、それなりの数の記事を書く必要がある。
ということは、書いても書いてもネタ切れしないようなこと、つまりあなたが好きなこと、人より遥かに詳しいことをテーマにしなければならないということだ。
本書では「最低30記事は書けるようなテーマを選ぶ」ことを推奨している。
何のために書くのか
このことについて熟考するべきなのは、モチベーションを維持する必要があるためだ。
目的は、読者との交流でも、自己表現でも、お金でもいいが、強い目的意識がないとモチベーションを維持することができず、成果が出る前に投げ出してしまう可能性が高い。
なぜ自分がそれを書く必要があるのか
これを強く意識しているかどうかで文章の雰囲気が変わってくる。
端的に言えば、ブログのメッセージ性が強くなる。
星の数ほどあるブログの中から、読者があなたのブログを継続して読むのは、ブログから発信されるメッセージ、さらに言えばそこから見て取れるあなたの個性に強く惹かれているためである。
同じテーマについて書いている人は無限にいるが、「この人が書いたブログじゃなきゃダメ!」と読者に思わせるような差別化を図ることが大切だ。
誰に伝えたいのか
ターゲット設定である。
自分の中でターゲットを設定しておくことにより、ターゲット層へより響くような表現、内容を選択することができる。
ちなみに、本ブログは、「雇われる側として1日の大半を労働に拘束されている中で、限られた自由時間を効率的かつ有意義に過ごしたいと考えている人」をターゲットとしている(つもりである)。
どのような表現手法で分かりやすく伝えるのか
読者はあなたのお母さんではない。
世間はシビアなもので、あなたのブログを読むことによって得られる利益が、失われる時間に見合うものでなければ読んではくれない。
最大限分かりやすく伝えるためには、専門用語等を平易な言葉に置き換える等、文章に関して工夫をこらすだけでなく、写真や動画など、自分の適性と伝えたい内容にベストマッチしたものを選択することも大切だ。
継続して成果を出す
ブログで飯を食うということは、継続して成果を出しているということにほかならない。
そのための手法については第三章に記載されている。
ポイントを一言でまとめると
「他とは違う、自分らしさを出した記事を全力で沢山書く」である。
他とは違う
インターネットの世界では「他とは違う」ことが大きな意味を持つ。
基本的にあなたのブログを見るのは、見ず知らずの他人だ。
そんな赤の他人があなたのブログにアクセスし、そこに「ある事象を大多数の人と同じ視点で見て、そのまま記事にしている」だけの文章が書かれていたらどうだろうか。
友達同士の会話なら「あーやっぱそう思うよね!」と盛り上がるかもしれないが、インターネットの世界ではそうはいかない。
自分と同じ考えが書かれているということは、そのブログからは新しく得るものがないということだ。
だからその人はあなたのブログを再訪することはないだろう。
「他とは違う」ということが、あなたのファンの増加、すなわち、継続的なアクセスの増加へと結びつくのである。
自分らしさ
他とは違うブログを作るために重要なのが、自分らしさだ。
では、自分らしさとはどのようにして出すのか。
簡単な方法は、自分自身が経験したことを、感じたことや思ったことを織り込んで文章化することである。
たとえ経験がありきたりなものだったとしても、そこに感想や考えを入れることにより、他との差別化を図ることができる。
それを繰り返すことにより文章力は上達し、自分らしさを表すようなフレーズも見出すことができるだろう。
沢山書く
そのためには、沢山書くことが必要となる。
そして、沢山書くためには、元となる沢山の経験が必要だ。
だから、ブログを書く人間にとって、「私には関係ない」「面倒臭い」は絶対に持ってはならない考えである。
本書はブログに関する書籍なので、上記のことは良いブログを書くために必要なこととして述べられている。
しかし、僕はそれ以外のことにも当てはまると思っている。
どんな経験でも何かしら得ることはある。
僕自身、「行ったこともないよくわからないイベントだし、家でゴロゴロしてようかなぁ」なんて思う日もある。
だが、そう思っても実際にゴロゴロして過ごすことはまずない。
そういうイベントこそむしろチャンスだからだ。
行ったこともないということは新たな知見が得られる可能性が高い。
もしそのイベントがとてもつまらないものだったとしても、その類のイベントがつまらないという知識は得られるし、理由を考えればその後の判断に役に立つ。
少なくとも家でゴロゴロしてるよりは遥かに多くのものが得られる。
経験は人間を豊かにしてくれる。
全力で
どんなに時間がなくても、手を抜いた記事を書いてはならない。
というか、手を抜いた記事を書くくらいなら書かないほうがマシだ。
飲食店で考えればわかりやすい。
あなたが初めて訪れた店でコース料理を食べたとする。
そのコースで出てきた料理はどれも劣悪で、手抜きであることが見え透いたものだった。
そんな経験をした後で「いやいや今日はシェフがたまたま疲れていたんだ。明日また訪れよう!」などと考えるだろうか。
もちろんそんなことは考えないだろう。
ブログも同じである。
どんな読者も最初は一見さんであるということを念頭に置いて、どの記事を最初に見られても大丈夫であるように、全ての記事を全力で書き上げなければならない。
個人で稼ぐということ
「稼ぐ」というのは、相手に対して自分がなんらかの価値を提供し、その見返りとしてお金を貰う行為だ。
提供する価値は大きく分けると、
時間
資産
知識(経験)
の3つとなる。
ブロガーが提供する価値は3番目、知識・経験である。
知識や経験は、時間や資産と比較して、提供しても無くならないというメリットはあるが、劣化が早いというデメリットも持つ。
だから、知識や経験をタネに飯を食っている人間は、常にそれらをアップデートするよう、努力し続けることが重要だ。
また、これまでに述べたことを継続し、ある程度「ブログで飯が食える」段階に達した時、次にやるべきは、ひとつの収入源に過度な依存をしないように収入源を分散させることだと筆者は説いている。
もちろん上記の3つ全てを行う必要はないが、例えばブログであれば、アフィリエイト、アドセンス、動画掲載、関連する講演や執筆といった収益源がある。
それまでの知識や経験を活かし、新たな分野を開拓、リスクを抑えていくことが、個人で稼ぐためには必要なのである。
ブログに関する本だと思って手を出してみたが、実際のところは、人生において役立つ心構えが盛り込まれた一冊だった。
特に挑戦することと継続することは人生の多くの場面で役に立つ。
ブログのみならず、何かを自分の力で成し遂げたり、自分の力で稼いでいこうと考えている人にはおすすめの本である。
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