たった5分でわかる『論点思考』

『論点思考』の表紙画像 ビジネス

2010年2月に初版が発行された本。

著者の内田和成氏は、ボストンコンサルティンググループ日本代表、早稲田大学ビジネススクール教授をはじめとした数々の経歴を持つ人物。本書以外にも複数の著作がある。

本書は、ビジネスにおける「論点」の設定の重要性を説き、論点設定の手法について解説したものである。
ページ数はあとがきまで含めて230ページあまり。コンサルティングで用いる手法や、一部専門用語も登場するが、解説と豊富な具体例により、初心者でも無理なく読める難易度となっている。

本記事では重要な部分を抽出してまとめている。

論点設定の重要性

ビジネスにおいて、最も重要なのは論点設定、すなわち、取り組むべき問題を正しく設定することである。

問題解決の基本的な流れは、問題設定→解決策の立案・提示→実行→問題解決、であるため、最上流行程で間違った問題を設定してしまうと、下流の行程も間違ったものが導き出されてしまうため、最終的に成果は得られない。

論点思考とは

論点思考とは、「自分が解くべき問題」を定義するプロセスのことをいう。

多くのビジネスパーソンは、上司や顧客から与えられた問題を「解くべき問題」として定義してしまうことが多い。しかし、与えられた問題は論点ではないことの方が多いのが現実である。

上からの指示を鵜呑みにするのではなく、果たしてその指示は本当に自分が解くべき問題(大論点)なのかと疑い、正しい大論点を設定した後、その解決のために必要な中論点・小論点を把握することが、現代のビジネスパーソンには必要となる。

論点思考の4ステップ

論点思考のステップは以下のとおり。

  1. 論点候補を拾いだす
  2. 論点を絞り込む
  3. 論点を確定する
  4. 全体像で確認する

ただし、必ずしも4つのステップすべてを行うわけではないし、順番に行うとも限らない。時と場合に応じてひとつあるいは複数のステップを使い分ける。

論点候補を拾いだす

このステップで重要なのは、現象や観察事実を論点と間違えないこと。
言われてみれば当たり前のことだが、現実的には混同されていることが多い。例えば、「少子化問題」はひとつの現象であり、本当の論点は、経済活動の停滞、社会保障体制の維持、国家財政の破綻、地方の活気の消失などである。

また、同業他社も抱えているような一般的な問題は、ビジネスにおいては論点とならない。一般的な問題をいくら解決しても、可もなく不可もない会社が出来上がるだけであり、競争で優位に立つことはできないからである。そして、人や環境、時点によって論点は変わりうることも心に留めておく必要がある。

上記のことを心がけ、どんな論点がありそうかをリストアップすることから論点思考は始まる。

論点を絞り込む

複数の論点候補の中から、真の論点を見つけ出す際のひとつの方法は、仮説思考によって「当たりをつける」ことである。

仮説思考は、自分の経験や考察をもとに仮説を立てるため、当たりの的中度はその人の熟練度に依存するところが大きい。ただし、経験が少ない状態でも、その時持っている経験や知識をフル稼働させて仮説を立てることが成長へとつながる。

  • 比較的容易に白黒つけられそうなところからアプローチする
  • 依頼者の問題意識が薄い分野を探る
  • 「なぜ」を5回繰り返し、芋づる式にアプローチする

上記のようなアプローチで当たりをつけていく。

もうひとつの方法は、「筋の善し悪しを見極める」ことである。

「筋の善し悪し」は感覚的な言葉であり、見極めも仮説思考と同じく経験に依存するところは大きい。説明をつけるのであれば、「筋が善い」とは、簡単に解け、容易に実行でき、大きな効果が短期間で表れること、「筋が悪い」とは、解くのが困難で、解けても実行が困難、実行しても効果がなかなか表れないか、小さいことをいう。

当たりをつけるにせよ、筋の善し悪しを見極めるにせよ、毎回思考のプロセスを挟んだ経験を積んでいくことが、精度を高める近道である。

論点を確定する

これまでのプロセスで、リストアップした論点候補の中から、真の論点らしいものがいくつかに絞り込まれている。
その中から、ひとつの論点を確定させるには、質問や仮説をぶつけたり、現場(支社・営業所・取引先・顧客)を見たりして、相手の反応を引き出し、そこから判断することが必要。

また、それと同時に、相手の発言の真意、意図、バックグラウンドを考えることも大切。

プライベートにおける「お近くにおいでの際は、ぜひお立寄りください」という引っ越しの挨拶状が本音ではないのと同様、ビジネスにおいても言葉どおりの内容がクライアントの真の意図ではないことがある。言葉の裏に込められた真意を把握しなければならない。そして、この作業には往々にして直観が役立つ。

経験や類似事例、似た感覚を蓄積し、引き出せるようにしておくことも重要。他業界の事例をそのまま参考にしたり、顧客視点で見たり、鳥の眼・虫の眼を切り替えたり、過去の経験を参照したりと、何かと役に立つことが多い。

全体像で確認する

大論点が固まってきたら、それにつながる中論点・小論点を整理し、論点を構造化する。

最適な手法はない。よく言われているようなイシュー・ツリーやMECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive=モレなしダブりなしを意識した整理)、ロジックフローなどを使ってもいいし、自分独自の方法でやってもいい。例えばBCG(ボストンコンサルティンググループ)のシニアコンサルタントが使用している手法として、思いつくままに箇条書きした論点候補をグルーピングし、絞り込む方法や、平面に散りばめて書いた論点を、相互の関連性を意識して線で結ぶ方法が紹介されている。

論点思考力の鍛え方

  • 本当の課題は何かと、日頃から考える
  • 広い視野で物事を見る
  • 2つ上のポジションに就いているつもりで仕事をする
  • 着眼点を変える
  • 複数の問題や答えを考えてみる癖をつける
  • 反対者の意見を想像する
  • 世の中の様々なことに興味関心を持つ

まとめ

コンサルティングの立場から、論点思考の重要性と手法について解説した1冊だった。このタイプの本は数多く出版されているが、それらが全体像をつかむことを最優先にしているのに対し、本書では、論点を見つけることを最重要視しているという点で独自性がある。

本記事では割愛したが、書籍内では、各ステップがケーススタディ付きでわかりやすく解説されているため、そのあたりが気になる方には手にとってみることをおすすめしたい。

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