2017年6月に初版が発行された本。
著者のTestosterone(テストステロン)氏は、学生時代は110kgに達する肥満児だったものの、米国留学中に筋トレと出会い、40kg近いダイエットに成功した人物。
トレーニング理論やスポーツ栄養学に精通しており、筋トレや正しい栄養学の普及をライフワークとしている。
本書は、筆者がおすすめする、ダイエットや肉体作りに役立つ最強の食事法「マクロ管理法」について解説したものである。
ページ数は全体で220ページあまり。
マクロ管理法と、それに関連する話のみで構成されており、専門用語は極力少なくしてあるため、短時間で読むことができる本となっている。
マクロ管理法とは
マクロ管理法とは、対象者の性別・身長・体重・年齢・活動量から1日に摂取すべき総カロリーを算出し、そのカロリーを適切なマクロバランス(タンパク質・脂質・炭水化物のバランス)で食べるというシンプルな食事法である。
マクロ管理法には、上記以外の複雑なルールは何もないため、わかりやすく、習慣化しやすいという利点がある。
マクロ管理法のやり方
マクロ管理法のやり方は以下の5ステップ。
- 性別・身長・体重・年齢から基礎代謝を算出する
- 基礎代謝と活動量から1日の消費カロリーを算出する
- 1日の消費カロリーから、目的に応じて1日に摂取すべき総カロリーを算出する
- 総カロリーから、各マクロ栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)を何gずつ摂取すればいいか算出する
- 各マクロ栄養素を摂取できる食事をする
なお、各番号の計算式を以下で解説しているが、計算結果のみ知りたい方は、筆者が立ち上げた完全無料のダイエット・筋トレ情報サイト「DIET GENIUS」にて、簡単なデータ入力で結果を算出してくれるシステムが公開されているため利用されたい。
基礎代謝の算出
基礎代謝(何もしなくても人が消費するカロリー)の算出方法(「MD Mifflinの式」と呼ばれている)は以下のとおり。
- 男性の場合
10×体重(kg)+6.25×身長(cm)-5×年齢(歳)+5 - 女性の場合
10×体重(kg)+6.25×身長(cm)-5×年齢(歳)-161
1日の消費カロリーの算出
活動量を加味した、1日の消費カロリーの計算式は以下のとおり。
- 座り仕事がメインの人
基礎代謝×1.2 - 立ち仕事や重労働が多い人
基礎代謝×1.55 - 立ち仕事や重労働が多く、さらに運動もしている人
基礎代謝×1.725
1日に摂取すべき総カロリーの算出
目的に合わせた、1日に摂取すべき総カロリーの計算式は以下のとおり。
- 増量、バルクアップしたい人
1日の消費カロリー×1.2 - 現状維持したい人
1日の消費カロリー×1 - 引き締め・ダイエットしたい人
1日の消費カロリー×0.8
各マクロ栄養素の摂取量の算出
1日に摂取すべき各マクロ栄養素(g)の求め方は次のとおり。
- タンパク質
体重(kg)の数値の2倍(g)を摂取する(例:体重60kgの人は60×2=120g) - 脂質
1日の総摂取カロリーの25%(kcal)が脂質で摂取すべきカロリー数なので、それを脂質1gあたりのカロリー数である9(kcal)で割る - 炭水化物
タンパク質1gを4kcalとしてタンパク質のカロリー数を求め、総摂取カロリーからタンパク質と脂質のカロリー数を引き、それを炭水化物1gあたりのカロリー数である4(kcal)で割る
食事をする
マクロ栄養素の量が算出できたら、あとは毎日それに沿った食事を行うのみ。
ただし、完璧に行うのはストレスが大きいので、タンパク質と炭水化物は±10g、脂質は±5gの範囲に収めることを目指す。
栄養源は良質な食材から摂るに越したことはないが、原則、上記のことさえ守っていれば、何を食べても問題ない。
各栄養素の含有量については、コンビニなどの商品は商品パッケージにそれぞれの栄養素が何g入っているか記載がされている。
また、自炊の場合は「カロリーSlism」などのウェブサービスを使って調べることができる。
なお、マクロ管理法における1日とは、起きてから寝るまでの間のことを指しているので、日付が変わった深夜に食べた食事は、前日のものとしてカウントする。
おすすめの食材
基本的に何を食べても良いのがマクロ管理法の魅力だが、何でも良いと言われると逆に決まらないという人向けに、おすすめ食材リストを掲載する。
マクロ栄養素の種類と量 | 摂取するのに必要な食品と量 |
タンパク質25g |
鶏ササミ:108g(約2.5本分) |
脂質12g |
アボカド:64g(約1/2個) オリーブオイル:12g(大さじ1) グレープシードオイル:12g(大さじ1) ココナッツオイル:12g(大さじ1) アーモンド:22g(22粒) カシューナッツ:25g(約1/4カップ) くるみ:17g(約4個) |
炭水化物50g |
白米:135g(約1膳) |
また、特におすすめの食品のそれぞれの各栄養素の含有量は以下のとおり。
タンパク質
食品 | 量 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | カロリー |
皮なし鶏むね肉 | 100g | 22.3g | 1.5g | 0g | 108kcal |
卵 | 1個(60g) | 7.38g | 6.18g | 0.18g | 91kcal |
マグロ赤身 | 7切れ(140g) | 36.96g | 1.96g | 0.14g | 175kcal |
カッテージチーズ | 1パック(200g) | 26.6g | 9g | 3.8g | 210kcal |
脂質
食品 | 量 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | カロリー |
アーモンド | 10粒(10g) | 1.86g | 5.42g | 1.97g | 60kcal |
オリーブオイル | 大さじ1杯(12g) | 0g | 12g | 0g | 111kcal |
アボカド | 1個(140g) | 3.5g |
26.18g |
8.68g | 262kcal |
炭水化物
食品 | 量 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | カロリー |
オートミール | 1カップ(80g) | 10.96g | 4.56g | 55.28g | 304kcal |
バナナ | 1本(90g) | 0.99g | 0.18g | 20.25g | 77kcal |
サツマイモ | Mサイズ1個(200g) | 2.4g | 0.4g | 63g | 264kcal |
その他補足等
- メインの栄養は、炭水化物なら玄米やオートミールなど、タンパク質なら鶏むね肉や牛肉など、脂質ならナッツやアボカドなど、良質な栄養源から摂るに越したことはない。
- ある日に上手くバランスが取れなかったとしても、翌日以降で調整してはならない。
- 開始後1週間は、食生活の変化による体内水分量の変化の影響が大きいので、体重の増減は気にしない。
- 1週間以上経っても思うような変化がない場合には、活動量を変えて再計算したり、総カロリーを±10%程度調整する。
- その他に計算し直すタイミングは、体重が3~4kg程度変わったとき、活動量が大きく変わったとき、体重の変化がなくなったとき。
- 健康を維持するため、1ヶ月の体重の増減は±5%以内に留めるべき。
- 合計量が同じなら食事は小分けにしたほうがメリットがある。
まとめ
マクロ管理法について、余すことなく解説された1冊だった。
健康系のジャンルは、その常識が数年で大きく変わりうることから、本によって異なる内容が書かれていることが多い。
例えば、本ブログにて紹介した「医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68」では、「カロリーと肥満は関係ない」という趣旨の内容が明言されている。
我々読者としては、多くの情報を取り入れ、信頼に足ると確信した方法を実践するのが一番だろう。
本記事では割愛したが、書籍内では巷のダイエットがなぜ効果がないのかが解説されていたり、おすすめレシピが紹介されていたりするので、そのあたりが気になる方は手にとってみることをおすすめしたい。
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