あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる

『あり金は全部使え』の表紙写真 読書

2019年6月に初版が発行された本。

著者の堀江貴文氏は元ライブドア代表取締役社長CEOで、現在は実業家としてスマホアプリ開発、宇宙ロケット開発、有料メールマガジン、会員制サロンの運営など、幅広く活躍している。
世間的には「ホリエモン」として広く知られ、テレビ局や球団の買収問題や、証券取引法違反による逮捕などのイメージが強い。

ホリエモンらしい挑発的なタイトルにはなっているが、本書は日本人のお金や時間の使い方に疑問を投げかけたもので、賛否両論はあるにしても、内容としては至極まともなものである。

ページ数は200ページ弱。
専門的な話はないし、具体例が豊富なので、非常に読みやすい本となっている。

古い時代からの幻想を解く

「古い時代からの幻想」=「貯金信仰」である。

冒頭で、『アリとキリギリス』の話が取り上げられている。
コツコツと働いて蓄えを増やすアリの生き方を美徳とし、将来のことを考えずに今を謳歌するキリギリスの生き方に警鐘を鳴らしている物語である。

ホリエモンは、この物語こそ、経済の中心が農業だった時代に生まれた「貯金信仰」を示す象徴的な話であり、現代においては真理とは言えないと説いている。

飢えを知らない社会においては、驚きや感動、娯楽、快適さといった付加価値に対価が支払われるようになっている。
つまりアリのような勤勉に働く才能よりも、キリギリスのように楽しみや遊びを周りに提供する才能の方に重きが置かれており、その傾向は社会の成熟とともに更に強くなっていくだろう。

お金は本来、使うことが目的の道具であり、お金を使うことで知恵や豊かな経験を身に付け、自らの価値を膨らませることが大切である。

もちろん、1円残らず使い切れ、と言っているわけではない。
やりたいこと、やるべきことが目の前にあるときに、漠然とした貯金信仰に流されてお金を使うことを躊躇うな、ということをホリエモンは主張している。

本書の構成

大きな主張としては上記のとおりだが、具体的にはどういった行動を心がければいいのか、ということがホリエモン自身の具体的なエピソードとともに語られている。

以下に見出しを掲載する。

大見出し 小見出し
安定志向はゴミ箱に捨てろ!
  • 限界を超えてお金を使え
  • 銀行預金は「不安の貯金」
  • リスクに飛び込め
  • 組織に頼るな
  • 家を買うな
  • 貸し金は捨て金と知れ
  • 死んだあとなどどうでもいい
欲望のままに遊び倒せ
  • 何でもやれ
  • 小遣い制は絶対やめろ
  • 恋愛は死ぬまで続けろ
  • 連れ込むのは高級ホテルにしろ
  • 行ける飲み会にはすべて行け
  • 没頭しろ
  • 株より遊びに投資しろ
  • ブレーキを壊せ
  • サボれる家族サービスはサボれ
金で買える時間はすべて買え
  • 困ったら借りろ
  • 財布は落として構わない
  • 掃除・洗濯はするな
  • 田舎を出ろ
  • 人に任せろ
  • 高くても都心に住め
  • タクシーを使え
  • 行列に並ぶバカになるな
チンケな節約をやめろ
  • 昼から迷わずうな重を食え
  • スマホは最高スペックにこだわれ
  • ジムに行け
  • 思考の筋トレを怠るな
  • オシャレに気を配れ
  • デートでの「多め出し」をやめろ
  • 邪魔なモノは捨てろ
財産を信用(ブランド)に変えろ
  • 手柄は人にやれ
  • 人助けに金を惜しむな
  • 欲しいモノはすぐに買え
  • 1の価値を100にしろ
  • 甘え上手であれ
  • 誰よりも早くやれ
  • 金持ちを目指すな
  • バランスを外せ
ゴールを設定するな  

以下、特に印象的なトピックについて取り上げる。

家を買うな

家を買え派からは「賃貸は家賃が勿体ない」という意見がよくあげられるが、持ち家には家賃がかからなくとも固定資産税がかかるし、ローンを組んでいれば元金に加えて利息を取られる。
何千万も払って自分の資産になった建物の価値は年々減価していくし、土地だって景気によって地価の大幅な変動リスクはある。

さらに、持ち家には、ライフスタイルの変化への対応が困難だというデメリットもある。
例えば、若いうちは問題なかった段差や階段が、歳を取るに連れて辛くなり、いずれバリアフリー化の手間がかかるだろう。

そして最大のデメリットは、移動が制限されるということである。
先述のようなちょっとした構造的問題に耐えられなかったり、天災にあったり、隣人トラブルに巻き込まれたりした場合でも、簡単には引っ越せない。

ライフスタイルに応じて、賃貸住宅を次々と替えていくのが良い。

死んだあとなどどうでもいい

保険、特に生命保険はおすすめできないという内容。

そもそも生命保険は、「死んだら家族にお金を残したいという人の心を利用した、タチの悪いギャンブル」だし、実際その始まりは17世紀のロンドンのカフェでの博打に端を発する。
しかも、保険事業の運営にかかる経費の大部分を利用者に負担させていて還元率が低すぎる。

もちろん、生命保険に入ることでもしもの際の不安が減るというのであれば、その気持ちは否定されるものではない。
しかし、その場合でも、生命保険の構造がどうなっていて、どんなリスクを持った商品なのか、各々判断できるようになるべきだし、そうなるような教育が全くなされていないという現状は問題である。

何でもやれ

文字どおり、とにかく何でもやってみるということ。
そうすれば何かひとつかふたつは、思いがけない成功体験を引き寄せるし、やること自体が楽しくなってくる。

やりたいことが現れたら後回しせず、すぐにやってしまうのが大事である。
その際に、人の目を気にしたり、可能かどうか迷ったり、将来性を考えたりするのは時間の無駄だからやめておくべきである。

行ける飲み会にはすべて行け

ビジネスで繋がり、少しでも面白い!と感じた人が誘ってくれた飲み会には、できるだけ参加するべき。

「何でもやれ」にも通ずるが、まずは行動してみるという意欲が大切である。
行ってみてつまらなかったら、二度と行かなければいいだけのことなのだから。

掃除・洗濯はするな

共働き夫婦の家事分担に起因する家庭内トラブルについての話。

世の男たちは、家事なんて会社の仕事に比べたら楽なものだ!専業主婦は完璧にできて当たり前!などと思っているがこれは大きな間違い。
完璧にやることはできるけれど、対価としてかなりの報酬を貰わないとやってられないような仕事が家事である。

そんな仕事を、夫婦、特に共働き夫婦で分担する必要はない。
外注してしまったらいいのである。

高くても都心に住め

ホリエモンは「通勤に往復2時間かかる場合、給料が20%低くなるのと一緒」と考えている。
20%というのは彼の感覚的な話だが、実際、莫大なストレスが掛かっているのは間違いない。

数万円ほど家賃を頑張るだけで戦場級とも言われるストレスを消せるのなら安いもの。

行列に並ぶバカにはなるな

月末の25日などにATMにできている行列の話。

わずか数百円の手数料をケチって、すぐに使える空いているATMに並ばずに、手数料無料の、行列ができているATMに並んで、数十分~1時間ほどの時間を潰してしまうなんてどうかしている。

そもそも時間はお金よりも遥かに貴重な資産であり、お金の価値が下落している今、その差はさらに大きくなっていくはず。

現金への執着が、ATMに並ぶといった愚行を呼び寄せているのだろうが、時間のほうが価値があるということに気づいて、そういった行動はきっぱりやめるべき。

昼から迷わずうな重を食え

酒食にお金を惜しむなという話。

それによって得られるものは、幅広い人間関係、魅力的な情報、有益なディスカッション、食文化や歴史の知識など、多岐にわたる。
それらを得るための学習代金だと考えれば高いものではない。

思考の筋トレを怠るな

大人になっても思考の筋肉は鍛えられる。

読書はひとつの有効な手段だが、いけている人に出会って面白い話を聞いたり、めずらしい場所へ行って面白い体験をすることによっても脳は活性化されるし、そっちの方が手っ取り早い。

いずれにせよ、大切なのは思考の筋肉をキープすること。
時代の潮流を常に知覚しておくためにも、情報を読む作業を怠ってはいけない。

欲しいモノはすぐに買え

金で買える、欲しいものは全部買うべき。

多くの人が買い物を我慢しているのは、貯金の呪縛によるもの。

もちろん、分不相応な買い物は身を滅ぼすだけだが、持ち金は足りているのに、将来使うかもしれないとか、貯金を崩すのはちょっと・・・、といった気持ちで買い物にブレーキをかけるのはバカげている。

欲しいモノを買うことによって、優れた情報や体験を得ることができる。
情報を積極的にインプットし、自分の中で噛み砕いてアウトプットしなければ、情勢の変化の激しい現代を生き抜くのは難しい。

誰よりも早くやれ

いまの時代、アイディア自体は価値はない。
誰も思いついたことのない、斬新で革命的なアイディアなどもう存在しない。
自分が初めての考案者だと思っても、実際は世界のどこかにいる誰かが、同時に、もしくははるか以前に必ず思いついている。

だから、重要なのは発想自体ではなく、その発想を人よりも早く実現にこぎつける行動力である。
「誰よりも早くやってしまう」者が成功を掴み取るのだ。

まとめ

ホリエモン流の「人生のコツ」についてがまとめられた本だった。

歯に衣着せぬ物言いで、読者を引き込むスタイルは、さすがのものだと感じた。
内容についても、本記事でまとめたことを中心に、共感できる部分も多かった。

本記事で触れたこと以外のことについてもホリエモン流の解釈が述べられているので、興味がある人は手にとってみると良いだろう。

 

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