元々は『人生のルール』というタイトルで2006年に初版が発行された本。
今回読んだのはイギリスで2012年に刊行された『The Rules of Life』第3版を翻訳・編集したものである。
ページ数はあとがき等含めて230ページ。
構成は単純で、著者のリチャード・テンプラー氏が「人生で成功するために心がけるべきルール」と位置づけているものを101個紹介し、それぞれについて2ページほどの解説をしている。
本書における「人生の成功」とは、金持ちになるとか、出世して有名になる、といったことではない。
著者が考える「人生の成功」とは、毎日を多いに楽しみ、毎日一生懸命に働き、家族や友人とよい関係を築き、少しでも世界に前向きな影響を与えようと努力するような人生を送れることである。
101のルールは4つのジャンル(個人的成功、パートナーとの良好な関係、最高の家族・友人・社会の一員)から構成されている。
101のルールの中で、特に印象的だったものを以下に紹介する。
個人的成功のためのルール
ルールを秘密にする
ルールのことを人に話すのは、愛煙家に禁煙の秘訣を教えるようなものだ。
こう筆者はいう。
周囲の人は「人生のルールを知りたい」とは思っていない。
いくら親切心で教えようとしても、それは相手からすればうるさいだけ。
だから、ただ黙々と自分のルールに取り組むのが良い。
たくさん失敗するほうがいい
本当の賢さとは、失敗をしないことではなく、失敗をしても上手く切り抜けられることである。
そのためには、数多くの挑戦をし、それだけ多くの失敗をすること。
そして、失敗したら、原因を解明し、同じ失敗を繰り返さないと心に誓うこと。
たくさん失敗しておけば、未経験の失敗の数は減っていく。
大切なことに集中する
人生で「本当に大切なこと」と「どうでもいいこと」を見極めて、大切なことに集中して取り組む。
もちろん、どうでもいいことをすべて排除しろと言っているわけではない。
ただし、両者を混同して「どうでもいいこと」にばかり時間を割くようなことは避けるべき。
世界の変化に興味を持つ
今、新たに世界で起こっていることを知れば、物知りで面白い人になれるし、若々しさを保つことができる。
幸せで、バランスのいい人生を送っている人は、必ず世界と関わっており、世界から自分を切り離さずに、世界の中で生きている。
そういう人は、一緒にいて楽しく、刺激を与えてくれる。
そのような人になることを目指す。
怒りを感じたら10数える
生きていれば思わずカッとなってしまうような出来事にしばしば遭遇するが、そんなときは深呼吸しながら10数えると良い。
この10秒で我に返って心を落ち着かせれば、10秒後には冷静に適切な判断を考えることができる。
自分は平凡な人間だと自覚する
何事にも全力で取り組むことは大切だし、取り組むからには最高の結果を目指すべき。
だが、最高を目指しても、いつも成功できるわけではないことも自覚していなければならない。
むしろ自分が完璧でないことを認めた態度は、他人からの好感度も上がる。
「過去は変えられない」ことを受け入れる
誰でも失敗はする。
しかし、済んだことはもうどうしようもない。
失敗を認め、もう同じことを繰り返さないために力の限り努力するのが最善の選択。
ブレない生き方を目指す
ブレない生き方にはふたつのメリットがある。
ひとつは、自分の進むべき道に対して最善の行動を取れるということ。
もうひとつは、周りの人に安心感を与え、あなたが信頼するに足る人間であると説得できること。
笑えるところを探す
人生がたいへんな時期であるほど、人はどうでもいいことに真剣になってしまうもの。
些細なことで落ち込んだり、小さな問題にこだわって、大切な時間を浪費してしまう。
それを回避するには、どんな事象に対しても、笑える部分を見つけられるようになる人になることが有効。
笑うことにより脳内で発生するエンドルフィンという物質は、気分をよくするだけでなく、冷静に物事を見られるようにしてくれる効果もある。
毎日、少しだけ勇気のいることをする
人は誰でも自分なりの「快適空間(その中にいれば安心できる範囲)」を持っている。
しかし、快適空間に執着すると、その空間はどんどん小さくなってしまう。
小さくなった空間は些細な出来事で簡単に破壊されてしまう。
そうならないためにも、普段から未知のものに挑戦をし、快適空間を広げる努力をすべき。
理解できないことを受け入れる
人はときに、理不尽な行動を取る。
予告なしで理不尽なことも起こる。
しかしこれらに対して「理解できない」などと騒いでいても仕方がない。
すべてを知ることは諦め、理解できないものがあることを受け入れれば、心の平安が手に入る。
自分を見て喜んでくれる人を大切にする
人でなくてペットなどの動物でも良いのだが、自分を見て喜んでくれる存在がいるのはとてもありがたいこと。
自分の心配ばかりするような心理状態を抜け出し、生きる意味を見出すことができる。
もしかしたらそういう存在は既にすぐ近くにいて、あなたが気づいていないだけなのかもしれない。
あきらめるべきときには静かに立ち去る
誰でも自分の失敗は認めたくないもの。
しかし人生には思い通りにならないことが多い。
何なら、思い通りにならないことの方が多いくらいだ。
勝つ見込みのない戦いなら、自分をすり減らさないうちに、あっさりと引き下がって次に向かうべきだ。
今は非常に悔しくても実はそれは大したことではなくて、10年後にでも振り返ってみたら、そもそも思い出すのにも苦労するような出来事になっていることが多い。
体調は自分で管理する
大人になると、早く寝なさいとか、ニンジンを食べなさいとか、テレビは1時間までとか言われなくなる。
言われなくなる代わりに、自分の身は自分で守らなければならないし、自分の面倒は自分で見なければならない。
だから自分自身で意識的に健康的な食事をして、よく眠り、休息を十分に取り、運動をしなければならない。
定期的に部屋の物を捨てる
部屋の散らかりは、心の散らかりと双方向につながっている。
袋にいれっぱなしで一度も使っていない物、引き出しの中に入りっぱなしの文房具、タンスの中で眠っている服を捨ててみよう。
物を減らして部屋がすっきりすれば、気分もすっきりして、活力が蘇る。
不安になったら具体的解決策を考える
誰にでも不安はある。
例えば、健康のこと、両親や子供のこと、友人のこと、人間関係、仕事、お金・・・。
しかし、大抵の不安は、段階を踏んで必要な行動を取れば解決できる。
必要な行動は次の3つ
- 具体的なアドバイスを求める
- 情報を集める
- 建設的に行動する
精神的な若さを保つ
内面の若さは外見にも表れる。
だから外見だけでなく、内面の若さを保つことが大切。
次のことを意識して行動する。
- 新しいことに挑戦する
- 年寄りくさい発言をしない
- 自分が成長できる方、面白い方を選ぶ
- 最新の動向に興味を持つ
自分だけの”元気の素”を見つける
自分を元気にしてくれる心の拠り所を持つことは非常に大切である。
それは、景色や場所でもいいし、人やペット、子供でもいいし、好きな本や映画、趣味などでもいい。
どんなものでも良いが、自分だけの元気の素を持つことによって、心の落ち着きと、人生の喜びを得ることができる。
いいところを見つける
人は本来、文句を言う方が好きな生き物。
だからこそ、悲惨な状況からいいところを見つけ、それを強調したい。
とはいっても、それがどうしても見つからないこともある。
そんなときは黙っていよう。
悪口の仲間に加わってはならない。
パートナーと最高の関係を築くルール
違いを受け入れ、共通点を大切にする
パートナーの中に自分と違うところを見つけたら、それは特別な才能だと思うべき。
個性的な才能とスキルを持ち寄るからこそ、二人の力はより高まることになる。
そして共通点を大切にすることによって、2人の関係性はよりスムーズなものとなる。
お互いの自由な時間を大切にする
良好な関係を築いているカップルは、相手の自立を認めている。
相手の夢やビジョンを否定したり、自由を奪って束縛しようとしたりはしない。
お互いが自分の時間を大切にし、その時間で得たものを2人の関係に還元している。
これが健全な大人の関係のあり方である。
プライバシーを尊重する
人は誰でも、生まれながらの権利がある。
あなたはパートナーのプライバシーを尊重しなければならないし、パートナーにもあなたのプライバシーを尊重してもらわなければならない。
親しい間柄でも、「お願いだから話してほしい」と甘えたり、「愛してないの」などと脅したり、弱みに付け込んだり、メールや留守電などを隠れて探ったりしてはならない。
二人のルールは柔軟に決める
パートナーとのルールは、「2人とも同じルールに従う」ことを原則にする必要はない。
例えば、ものすごく几帳面な人と、とんでもない散らかし屋のカップルがいたとする。
2人のルールを「部屋はきれいに片付けるべき/散らかしたままでかまわない」に統一すると、どうしてもケンカが起きてしまう。
そんなときは、互いの領域を決め、その領域でそれぞれが自らのルールを適用すればいい。
2人のルールは、無理に性格に反することはしないように決めるのがコツである。
最高の家族・友人となるためのルール
「忙しい」を言い訳にしてはならない
「忙しい」は決して言い訳にしてはならない。
忙しさにかまけていると、時間はあっという間にすぎてしまい、身近な人への気遣いを示すことなど一生できない。
人は永遠に生きられるわけではない。
ぞんざいな対応をすると、いなくなったときに「ちゃんと話を聞いておけばよかった」と激しく後悔することになる。
子供には失敗する自由を与える
子供は失敗することによって、やっていいことといけないことの区別がつくようになる。
失敗からこそ、もっとも多くを学ぶことができるのである。
だから、子供が何かをする前からそれを禁じてはならない。
親がやるべきなのは、子供のすることを黙って見守り、失敗したときのケアを用意しておくことだ。
お金が返ってくると期待しない
相手が友人でも、子供でも、兄弟でも、親でも、返ってこなくていいという覚悟がないなら、または関係を終わりにする覚悟がないなら、お金は絶対に貸してはいけない。
明言された貸し借りでなくとも同じである。
子育ての間にかけたお金は子供へ貸し付けたお金だと認識している親はとても多いが、実際は子供が子育ての費用を返すことはない。
もし本当に返してきたら、自分の幸運に感謝するくらいでなければならない。
子供に自由を責任を与える
子供が成長するペースについていくことが、子育ての秘訣。
そして、子供の成長に合わせて、より大きな自由と責任を与えるのが親の役目。
先述のように、子供は失敗から多くのことを学び、成長していく。
そのプロセスを見守り、手助けをし、少しずつ責任を与えていくのが大切である。
社会の一員としてのルール
相手の立場で考えてみる
寛容になることは大切だ。
間違った行動を許すことは、負けることではない。
理不尽に耐えることでもない。
相手もちょっとしたことがきっかけで、間違ったことをしてしまっただけなのかもしれない。
そんな可能性を考えて、相手を許すことを心がけたい。
相手の得になることを探す
自分が勝つために、相手が負ける必要は必ずしもない。
自分が勝利を手に入れると同時に、相手も勝者にすることはできる。
いわゆるWin-Winの考え方である。
相手の望みを探るコツは、一歩身を引いて、状況を客観的に眺めることだ。
自分より恵まれた人を恨まない
世の中は無駄な恨みや嫉妬で溢れている。
だからせめて私たちだけは、これ以上恨みを増やさないようにしたい。
すべて順調に見える人だって、裏では沢山の苦労を経験してきたし、これから経験することになるのかもしれない。
その側面を考えずもせず、ただきらびやかな一面だけを見て嫉妬するのでは、人生はますます辛くなってしまう。
周囲の人と自分を比べ、優れた人を手本にする
周囲の人を教師だと思って、周囲の人から学ぶ。
これは、著者ではなく、初版を読んだインド人の少年が送ってくれたルールらしい。
自分が成長するためには目標を見つけ、それをお手本とするのが手っ取り早い。
そのことは本人には言う必要はないが、助言が欲しいのなら教えを請うことも良いだろう。
まとめ
人生で成功するために心がけるべき101のルールの中で、個人的に感心させられたもの、特に共感できたものを紹介した。
紹介した以外にも様々なルールが掲載されている。
見出しだけを見て、気になるルールのみを読むこともできる構成となっているので、手っ取り早く何かを学びたいという方にはおすすめの1冊だと思う。
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