たった5分でわかる『超ライティング大全 -「バズる記事」にはこの1冊さえあればいい-』

2021年6月に初版が発行された本。

著者の東香名子氏は女性ニュースサイトの月間アクセス数を1万から650万まで引き上げた実績を持つウェブメディアコンサルタント/コラムニストで、現在はメディア出演、コンサル、講演など幅広く活躍している。

本書は、著者の経験をもとに、バズる(SNS等で話題になる)文章を書くコツについて解説したものである。

ページ数はあとがきまで含めて300ページあまり。
文章を書く下準備から、書き終わった文章の推敲に至るまで、網羅的に解説した1冊である。

本記事では、特に重要な部分を抽出して解説する。

覚えておくべきNG集

読者が離脱(途中で読むのをやめて離れてしまうこと)をする原因は主に4つ。逆に言えば、以下のNGを避けることで離脱を防止することができる。

  • テーマがわからない
  • 読みづらい
  • 難しい言葉が多くて理解できない
  • 途中から内容に興味がなくなった

スムーズな文章を書く順番

初心者は文章を1行目から書き始めようとして、何を書けばいいかわからず、途方に暮れてしまいがち。スムーズに文章を書くためには、1行目から書くのではなく、以下のような順番で行うのがおすすめ(2は1の前や3の後でもOK)

  1. 書くテーマを決める
  2. 読んでほしい人を決める
  3. 仮タイトルをつける
  4. 書く材料を集める
  5. 小見出しを考える
  6. 中身の文章を書く
  7. 書き出しの文、締めの文を考える
  8. 本番用タイトルを考える
  9. 文章を推敲する

テーマ選び

バズるテーマを10個紹介する。

季節の話題

毎年決まった時期に流行するものがあるので、それに向けて1ヶ月前くらいに記事を準備しておく。

月ごとのトレンドテーマは次のとおり。

1月 正月、初詣、お年玉、福袋、経済予測、開運スポット、占い、成人式、鍋料理、防寒対策、正月太り、受験シーズン
2月 節分、恵方巻、バレンタイン、冬のレジャー、温泉、新酒(日本酒)、花粉症対策、肌の感想、雪対策、防寒対策、受験シーズン
3月 ひな祭り、春休み、卒業式、卒業旅行、送別会、ホームパーティー、転職、新生活に備える情報、花粉症対策、春の味覚、開花情報、春のファッション
4月 入園・入学・入社、新生活、引っ越し、インテリア、家電、習い事、人間関係構築、マナー、花見、GW準備、花粉症対策、紫外線対策
5月 GW、こどもの日、レジャー、旅行、渋滞、母の日、初夏のダイエット、紫外線対策、汗のにおい対策、クールビズ、5月病、運動会
6月 梅雨、雨の日の過ごし方、レイングッズ、湿度対策、食中毒対策、父の日、家で楽しめるエンタメ、雨の日のデート、お中元ギフト、夏のファッション
7月 夏休み、熱中症対策、冷感グッズ、スポーツの日、祭り、盆踊り、花火大会、BBQ、海、プール、熱帯夜、リゾート、夏バテ対策
8月 夏休み、お盆、帰省、熱中症対策、熱帯夜、ゲリラ豪雨、台風、夏バテ解消、浴衣、日焼け対策、マリンスポーツ
9月 新学期、大型連休、敬老の日、残暑、中秋の名月、暑さに疲れた体ケア、レジャー、アウトドア、秋のファッション
10月 食欲の秋、フルーツ、鍋料理、おでん、ハロウィーン、読書の秋、運動会、あったかグッズ、乾燥ケア
11月 秋の味覚、ボージョレ・ヌーボー、寒さ対策、七五三、いい夫婦の日、ブラックフライデー、お歳暮、紅葉、レジャー、鍋料理、伝統芸能、冬のファッション
12月 クリスマス、大晦日、年末年始、大掃除、断捨離、フリマアプリ、リサイクルショップ、ボーナス、ホームパーティー、年賀状

「格安」「お得」情報

ネット民はお金にシビアなので、「安い」「格安」「お得」といったワードに敏感。企業のセールなどであれば、タイトルに「安い」「お得」などと入れた予告記事を事前に出しておくといい。具体的な割引額(率)や「今だけ」「期間限定」なども入れられればなおよし。

懐かし情報

大人世代にウケやすいのが、彼らが子供だった1970年代~90年代のアニメや駄菓子、流行語。また、明治時代など「生まれる前の時代」も好奇心を刺激しやすい。記事を書く場合には、文字ではなく、写真をメインにするのがポイント。

まとめ情報

タイトルに、掲載している情報と、「【まとめ】」「すべて教えます」「全部見せます」「全リスト」などの言葉を入れるのがコツ。余裕があれば、掲載店舗数やアイテム数も入れる。

ランキング記事

売れ筋や人気アイテム、おすすめスポットなどのランキングの記事を書く。大規模な調査をしなくても、「自分のおすすめランキング」でもOKだし、企業が発表している「話題のランキング」の紹介や、それに関する自分の分析記事でもいい。

最新ニュース

Googleニュースで、自分の執筆ジャンルの最新ニュースを検索し、それに関する自分の分析を掲載する。

最新キーワード

1日最低1回は「今バズっているワード」を調べ、新しいトレンドを探す。
ツールはYahoo!リアルタイム検索がおすすめ。

Yahoo!リアルタイム検索

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話題の商品

話題の商品についてはとにかく早く記事化することがバズりへの近道。読者に「同じ目線」だと感じてもらうような発信の仕方をすることが重要となる。

よく聞かれること

「自分がよく聞かれること」や「みんなが知らないこと」は、記事にアクセスを集めるヒント。「そういえばいつも聞かれるなぁ」というネタをストックしておく。

オタクネタ

自分がのめり込んでいる趣味は、文章に気持ちがこもっており、躍動感を演出できるため、積極的に取り入れるべきネタ。メジャーなテーマ(例:鉄道)は、すでに第一人者がいる可能性が高いので、趣味の中でもジャンルをさらに細分化し、細かいテーマ(例:山手線)を取り上げるのが秘訣。

6つの下準備

バズる記事を速く、うまく書くために心得ておくべきことは6つ。

  • 仮タイトルを決めておく
  • 1トピック1メッセージの徹底
  • 5W1Hをはっきりさせる
  • 読者の人物像は最大限細かく設定する
  • スマートニュースや人気雑誌で、読者に響きそうなキーワードを集めておく
  • 本文を書く前に、仮タイトルに適合した小見出しを考える
スマートニュース

スマートニュース

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記事フォーマット7選

バズる記事のフォーマットは、大きく分けると7種類ある。

サンドウィッチ法

もっともベーシックな書き方で、要素をポイントごとに並列して説明する記事や、数を打ち出した記事に向いている。

  1. 仮タイトルを決める
  2. 小見出しを考える
  3. 本文を考える
  4. 書き出し文を考える
  5. 締めの文を考える

書き出し文は、次の3文のみでOK

  1. ~って、・・・ですよね。(読者への共感)
  2. そんな人もこれを読めば、すぐに~できます。(解決法の存在を示唆)
  3. 今日は~をご紹介します。(テーマ紹介)

締めの文も、3文でOK

  1. 今回は、~についてご紹介しました。(おさらい)
  2. これで問題なく~することができますね。(解決に言及)
  3. ぜひ~してください。(前向きなメッセージ)

※サンドウィッチ法については、著者執筆の他の書籍『100倍クリックされる超Webライティング実践テク60』内で詳しく解説されている。

感情後出し法

社内外での受賞報告、結婚報告など、何らかの報告を「自慢っぽい感じ」を出さずに書く手法で、TwitterやFacebookへの投稿に向いている。
書き方は、事実→経緯→感想&意気込みの順に書くのみ。事実や経緯の部分では5W1Hを意識して淡々と書き、感情はラストの部分までは抑えておくのがポイント。

三段ブロック法

伝えたい主張や提案があるときに最適なフォーマット。
次の構成で文章を綴る。

  1. 序論・・・伝えたい話題(主張)を提示
  2. 本論・・・その理由や根拠
  3. 結論・・・最終的な主張

超アピール法

商品やサービスをPRするときの構文。

  1. 読者の悩みに共感
  2. 商品(サービス)の特徴と、読者のメリット
  3. 愛用者の声
  4. 商品情報(料金、販売方法、キャンペーン、日程、詳細リンク)

この構文でもっとも気をつけるべきことは、読者に対してメリットを明示するということ。

メリット推し集客法

前述の「超アピール法」の亜種で、こちらはイベントやセミナーの告知に向いている。

  1. 読者の悩みに共感
  2. イベント名や内容(プログラム、主催者、登壇者など)と、読者のメリット
  3. 過去の参加者の声
  4. イベント概要(日時場所、料金、定員、申込方法など)

レポート法

イベントやセミナーの開催後に、雰囲気を感じてもらい、次回以降の集客につなげることを目的としたフォーマット。

  1. 開催概要(イベント名、開催日時、場所、参加人数)
  2. イベントの内容
  3. 参加者の声
  4. (あれば)次回のイベント告知

1文目に、いつ・どこで・どんなイベントが行われたかを明確に表現するのがコツ。

起承転結

創作文や日記、自分の話に適した構成で、劇的な感じを出せる。

  1. 起・・・舞台や登場人物の紹介
  2. 承・・・物語が展開
  3. 転・・・どんでん返し
  4. 結・・・結末、オチ

バズる書き方のルール

バズる導入文

バズる導入分のパターンはおもに3つある。

  • 「~をご存知ですか?」「まだ~をやっているんですか?」といった、読者への問いかけ形式
  • 「~ですよね」と、読者の気持ちを代弁する形式
  • 「吾輩は猫である」「メロスは激怒した」のような、主語と述語のみのインパクトある形式

一文は短く書く

長い文章は読者の離脱を招く。一文は30文字以内を目安とすること。
また、段落ごとに改行を入れて見やすくする。話題が変わるときは小見出しを入れ、改ページするときは「【次ページ】〇〇」などの予告テキストを使う。

「話し言葉」は慣れてから使う

話し言葉を文字にすると、回りくどい印象になり、読みにくくなる。慣れないうちは書き言葉をメインに使うのがベター。

専門用語や難しい言葉は使わない

読者にとって意味のわからない言葉は離脱の一因となる。小学5年生でもわかるようなシンプルな表現を使うのがおすすめ。

最後の文は断定形

語尾を「~と思います」などの曖昧な形にすると、急に説得力がなくなる。「言っているとおりにならなかった!」などというクレームをつけてくる人はほとんどいないので、しっかりと断定で締めくくるように心がける。

愚痴や中傷は書かない

愚痴や中傷は読者を不快にさせるばかりか、場合によってはトラブルの元となる。近年社会問題化しているように、特定の人の誹謗中傷は絶対にしてはならない。映画や本についても、ネガティブな情報は「好みと合わなかった」程度にとどめ、文末はポジティブな内容で締めくくるようにする。

ダメ出し記事は解決策とセット

例えば、「運動せずに食べてばかりだから太るんだ!」などと書いても、読者からしたら「そんなことわかってる!」と反感を買うだけ。読者が知りたいのはその先にある解決策であり、それをきちんと書くことによって、ダメ出し感が消え、応援しているようなニュアンスが出る。

推敲のコツ

書いた文章は一晩寝かせる

書いた文章を即投稿するのは、よほどの急ぎでない限りは避けたほうがいい。少なくとも2~3時間ほどの間隔を空けて読み直しをすると、ミスや過不足を客観的な視点で見つけることができる。

「ぜいにく言葉」を削る

「ぜいにく言葉」とは、なくても意味が通じる言葉。代表的なものとしては「こそあど言葉」がある。
先述のとおり、一文を短くすることは大切だが、こそあど言葉を多用すると、むしろ伝わりづらくなるので、使わないように気をつける。

その他の「ぜいにく言葉」は以下のとおり。

  • やはり→削る
  • ~という、~といった→削る
  • ~のような→削る
  • ~している、~していきます→「~する」
  • ~することができる→「~できる」「~が可能」

接続詞を削る

接続詞を多用すると少し冗長な印象になる。いったんすべて削ってみて、ないと意味が通じないところだけ加えていくことが接続詞を減らすコツ。

句読点や記号を加える

句読点や「」、❝❞などを使うと、文章は読みやすくなる。特に初心者は、句点(、)が少なくなりがちなので注意。

文末に注意

文末を「です・ます」にすると、柔らかく親しみやすい印象になる。一方、「だ・である」は、簡潔で説得力があり、真面目さを演出できる。どちらにするかは記事の内容によりけりだが、混在させないようにする。

ただし、すべての文末を同じ言葉(「です」など)にするとテンポが悪い。そんな場合は体言止め(文末を名詞や代名詞にする)を使ってリズミカルな文章にするといい。

類語辞典を使う

同じ言葉が連続すると単調で稚拙な文章だという印象を与える。類語辞典を活用して、言葉の重複を避けるといい。

具体的に書く

文章は、具体的な内容であればあるほど説得力が増す。以下の4つのポイントを押さえる。

  • 「たとえば」を用いて事例を書く
  • 「数字」を使う
  • 「比喩(~のように・ような)」を用いる
  • 「擬態語・擬音語」を使う

小見出しを工夫する

小見出しが魅力的でないと、読者が離脱してしまう可能性がある。

タイトルテンプレート

クリックされやすいタイトルを以下に羅列する。

  • ○○できる~つの法則
  • ○○が解決する△△(商品名)とは
  • ○○が✕✕できる△△~選
  • ○○と△△の違いとは
  • なぜ○○なのか
  • ○○で買える✕✕
  • 2位は○○、では1位は?
  • ○○に聞いた「✕✕ランキング」BEST△
  • ○○の声
  • A(優秀な人)がB(意外なこと)をする理由
  • A(プラスのこと)なのにB(マイナスのこと)
  • AするだけでBできる
  • Aする人、(一方で)Bする人
  • A VS B
  • ○○だけじゃダメ
  • A(属性や名前)がB(チャレンジ内容)をしてみた
  • ✕✕したらこうなった
  • 【画像○○枚】
  • 「○○あるある」BEST△
  • ○○(ニュース)が起きた✕(数字)つの理由
  • ~~してはいけない○つのワケ
  • あなたの○○、間違っています
  • 【調査】~な人は○○.○%いると判明
  • 人物「セリフ」
  • ○○が✕✕円お得になる△△
  • ○○をやめる方法
  • ○○する勇気を持とう
  • ○○の驚くべき秘密
  • Aが知らないB

多数のテンプレートがあるが、読み手のメリットを入れること、数字を入れることが、手っ取り早くバズるコツ。

バズる単語

バズりやすい、目を引く単語を以下に掲載する。

コツ テク/テクニック ポイント 裏ワザ メソッド
原則 鉄則 解決策 ルール 簡単
手軽 シンプル たった 意外 思わず
無意識 あえて 瞬間 偶然 卒業
脱○○ 習慣 速報 あるある スゴい
ハラスメント プチ○○/ちょい ベストアンサー 炎上
LINE 画像/動画 爆誕 バズる ○○にもほどがある
リスク/危険 ○○ファースト エグゼクティブ/セレブ/エリート ママ 一番○○
サステナブル 初心者 初めて 入門 直ちに
時短 ズボラ ほったらかし 誰でも○○できる まとめ
パターン チェックリスト ○○術 手っ取り早く メリット
共通点 理由/ワケ 特徴 方法 条件
基本 トリビア ○○の日 誰にも教えたくない 天才
コスパ ○○すぎる 注目 狙い目 ○○な人必見!
知らなきゃ損 ここだけ レア プレミア 限定
ランキング No.1 ○○.○% 多数
平均 ○○の時代到来 時代遅れの ○○から△年 ○○は今
○○はもう古い! トレンド ○年ぶり 前代未聞 アラ○○
年収○○○万 本当 マジ ガチ
本物 本音 深層心理 証言 ○○と判明
明らかに! ○○が教える/解説 プロがこっそりやっている ○○の達人 モテる
色気 ○○度 ○○女子/△△男子 推し ○○ロス
勝ち組 負け犬 ○○活 手本 やってはいけない
NG 逆効果 失敗 デメリット やりがち
嘘/ウソ 残念な ヤバい 批判 最悪
不倫 修羅場 格差 中毒 バカ
末路 人には言えない 地獄 日本人の○○離れ 一人勝ち
逆に        

まとめ

以前に紹介した『100倍クリックされる超Webライティング実践テク60』に加え、さらに細かいテクニックなどもカバーした、ウェブライティング技術の集大成的な1冊だった。副題にあるとおり、この1冊を手元に置いておけば、記事を書くのに困ることはない。
本記事では割愛したが、書籍内では例文や、ライターのなり方・収入などについても触れられているので、気になる方は手にとってみることをおすすめしたい。

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