たった5分でわかる『精神科医が教えるストレスフリー超大全』

2020年7月に初版が発行された本。

著者の樺沢紫苑氏は、精神科医として働く傍ら、これまでに30冊もの著書を執筆してきた作家としても知られており、さらにYoutubeやメルマガなども運営している「日本一アウトプットする精神科医」

本書は、人生のあらゆる場面でのストレスについて、そのメカニズムと対策法を詳細に解説している。
ページ数は全体で350ページ弱と、この手の本としてはかなりボリュームがある方だが、アウトプットのプロが執筆した本というだけあって、内容が飲み込みやすく、文量のわりには短時間で読むことができる一冊となっている。

本記事では重要な部分を抽出してまとめている。

ストレスをなくす必要はない

『ストレスフリー超大全』なのにこんなことを言うと読者は混乱するかもしれないが、ありとあらゆるストレスの原因を完全に取り除くことは現実的に不可能である。
また、適度なストレスは、脳の動き、集中力、記憶力を高めてくれることから、むしろ生活に必要なものと言える。

問題は、寝るときや翌日以降にも持続するような過剰なストレスを感じ続けることと、「不安」や「悩み」といった、自分の成長につながらない「悪いストレス」を感じていることである。
本書では、上記の問題に対する解決策を提示している。

基本の5つの習慣

シーン別のストレス対策については後ほど触れるが、ここではあらゆるストレスの対策となる一丁目一番地について解説する。

不安を行動で取り除く

不安とは、ピンチの際に分泌されるノルアドレナリンによってもたらされる感情であり、ピンチを脱するエネルギーとも呼べるものである。そして、エネルギーは行動すれば減る。よって、行動を起こすことで不安は確実に減らすことができる。

具体的な行動としては、友人やカウンセラーに悩みを話したり、日記などに書き出したり、全力で運動したりすることが有効。

自力で解決できるようになる

自力で解決するには、「悩みを書き、対処法を調べ、実行し、それを評価する」というサイクルをどんどん回していくことが重要。評価する際には、まず「うまくいっていない理由」を最低3つ書き、次に「うまくいっている点」を最低3つ書く。そして「次のToDo」を3つ書く。1週間単位でこれを繰り返すと2~3週間でかなりの効果が現れる。悩みをすべてToDoに変換するのがポイント。

他人の力を上手に借りる

自力で解決できない悩みもある。そんなときは他の人に相談するしかない。親友や上司、公的な相談窓口に気軽に相談してみる。

相談の目的は「専門的なアドバイスによる悩みの原因除去」のみだと考える人は多いが、実際には、それ以外にも、相談自体がストレス発散になったり、言語化してみることで自分自身が問題を整理できたり、さらにそれによって対処法に気付ける場合もあったりと、メリットは多い。

生活を整える

対処法を知っておくことは大切だが、そもそも心身の健康を損なうのを未然に防げるに越したことはない。
そのためには、毎日7時間以上の睡眠、週に150分以上の有酸素運動、1日3食バランス良く食べて緑茶やコーヒーを1~2杯/日飲むことを心がける。

朝散歩をする

「朝日を浴びる」「リズム運動をする」と、セロトニンが活性化する。セロトニンが活性化すると、清々しい気分となり、意欲が出て、集中力が上がる。さらに、セロトニンを元に夕方には睡眠物質のメラトニンが作られるので、夜の睡眠を深める効果もある。

毎日やるのがベストだが、慣れないうちは週1~2回でも、起床後1時間以内に15~30分、リズミカルなテンポで散歩を行うだけで効果がある。

人間関係

ここでは人間関係全般に関するストレス対策について解説する。

比較

ほとんどの人は他人と自分を比較して、自分の欠点を探すようなネガティブな行動を無意識に行っている。これを防ぐために、過去の自分と現在の自分を比較し、ポジティブな成長を探すということを意識的に行う。
他人に対しては、比較するのではなく、観察して良い部分を見つけ、リスペクトすることが大切。

人の意見に流されない

他人の意見に流されて失敗しても、誰も責任をとってはくれないのだから、他人の意見は「参考程度」にとどめるべき。自分にとって最も重要な価値観、将来の理想の姿を持っておくことで、人に流されにくくなる。
普段から日記やSNSでアウトプットの練習をしておくと、自己洞察力が鍛えられる。
会議などで同調圧力の影響を避けたい場合には、あらかじめ参加者に自分の意見を書かせておくのがおすすめ。

信頼

信頼関係の構築には3ヶ月~数ヶ月の期間がかかるので、新しい職場で1,2ヶ月経っても馴染めないというのは全く不自然なことではない。
ただし、ひたすら時が経過するのを待っていれば信頼関係が構築されるわけではない。自分から先に自己開示をすることにより、相手も同じくらい自己開示をしてくれ、それによって、警戒→疑心→理解→共感→信頼と、関係のステージが進行する。ステージに応じて、挨拶やイエスセット話法、ホモフィリー、傾聴テクニック、ザイオンス効果などを上手に利用していく。

ただし、信頼できない人とはわざわざ労力を割いて関係構築する必要はない。おおまかに言えば、信頼できる人と信頼できない人の特徴は以下のとおり。

信頼できる人 信頼できない人
他人への気遣い、関心がある 自己中心的
For You軸が強い For Me軸が強い
人にしてあげることを考える 人にしてもらうことだけ考える
ギバー テイカー
筋が通っている 言うことがころころ変わる
信頼を積み上げる 恐怖や不安を煽る
ものの見方が中立的 儲け話をふってくる
時間や約束を守る 時間や約束を破る
正直、誠実 嘘を付く
言い訳せずにまず謝る 言い訳ばかり
言動に責任を持つ 無責任

人は自分に近い性格傾向の人を好む(同属性の法則)ので、信頼できる人と関係構築をしたいなら、まずは自分が「信頼できる人」の行動を心がけること。

嫌いな人との付き合い方

脳の「扁桃体」と呼ばれる部分は、「好きor嫌い」あるいは「安全or危険」を0.02秒という速さで判断すると言われている。これは条件反射的なものなので、回避することは困難である。
しかし、「嫌い」という感情を意識すると、たとえ言葉に出さなくても相手には伝わるもので、返報性の法則により、相手も自分のことを嫌ってくる。これを防ぐために「好きor嫌い」ではなく、「好きor普通」という概念を導入する。他人の悪口は、その人を嫌いだという感情を強化してしまうので言わないようにし、代わりに長所を探すべき。

嫌われたくない

逆に、人から嫌われたくない場合にはどうすればいいのか。
結論から言ってしまえば、嫌われないようにする努力は99%無駄。他人の感情は自分のコントロール下にはないからである。

基本的に、あなたを嫌いな人が1人いるとすれば、あなたを好きな人は2人いるし、どちらでもない人が7人いる。あなたを嫌いな1割を気にするよりも、あなたを好きな2割を大切にするべき。
職場においては、どうでもいい人は気にせず、自分にとって重要な3人のキーマンとしっかり関係性を築くことを心がければいい。

本音

「対人関係の三重円」という考え方がある。三重の円の一番内側は家族・恋人・親友などの重要な他者、その外側は友人・親戚、一番外側が職業上の人間関係で、内側に行くほど深い関係という考え方なのだが、本音を話すのは一番内側の円に入っている人だけでいい。
職業上の関係性のみの相手に対しては、仕事という仮面をかぶった状態で接すること。

悪意を向けてくる人の対処

悪意を向けてくる人は劣等感が強い人、相手を貶めることによって自分の優位性を確認したい人なので、「スルーする」というのが一番の対処法。
以下は汎用性のあるスルー言葉なので、相手のとの関係性によって上手く使い分ける(下に行くほど丁寧なスルー言葉)

  • へー、それで?
  • それが何か?
  • それで、他に何か?
  • わかりました。それで?
  • 大丈夫です。ご心配なく。
  • そうですね。私もそう思います。
  • ありがとうございます。
  • なるほど、そういう考えもありますね。
  • わかりました。検討させていただきます。
  • アドバイス、本当にありがとうございます。
  • (笑顔で)それはよかったですね。

スルーできない関係性の相手に対しては、適当にほめておだてるか、「ベンジャミン・フランクリン効果(助けた人を好きになる効果)」を利用し、何かちょっとしたお願いをするのがおすすめ。

他人を変える

繰り返しになるが、他人は自分ではコントロールできないので、変えることは非常に難しい。それどころか、他人に干渉したり権利侵害をするとトラブルを招きかねない。

それでも、他人に何かをしてほしいなら、「○○しなさい」ではなく、「○○してくれると私は嬉しい」という、自分主体のメッセージで伝えたり、単にメリットなどの情報提供をするにとどめたり、情報提供後は根気よく待ち続けたりする方法がある。

プライベート

ここでは主にプライベートな環境で発生するストレスの対策について解説する。

孤独

孤独の健康へのリスクは「1日15本の喫煙」「肥満の死亡率の2倍」に匹敵するので、喜びを分かち合ったり、不安を相談したりできる友人はいたほうがいい。ただし、1人いれば十分で、無理して100人の友達を作ろうとする必要はない。また、友達という関係性が重すぎるという人は、何らかのコミュニティに所属し、同じ目的を持った「仲間(≠友達)」を作る手もある。

友達の作り方

社会人になると、学生時代よりも友達を作るのが難しくなる。上下関係や出世争いなどの事情が絡むので、努力せずに友達ができることは少ない。以下のことを心がける。

  • 笑顔で対応し、ポジティブな印象を与える
  • 自分から話しかけて相手との共通点を探る
  • 趣味などのコミュニティーに所属して、友達候補に出会う

SNS

SNSは使い方によって人間関係を深めることもあれば、悪化させることもある。SNSはあくまでも道具であるということを認識し、「リアル」なコミュニケーションを重視すれば、いわゆる「SNS疲れ」になることは少ない。

  • 頻繁にやり取りする相手はリアルでも仲の良い数人に絞る
  • 3つ以上のSNSは使用せず、利用時間も決めておく
  • 交流のためではなく、アウトプットツールとして利用する
  • 「いいね」に大した価値はない

こういったことを心に留めておきたい。

相手に好意があるかどうかを知る

コミュニケーションには「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」の2種類がある。前者は文字通り言葉の意味内容、後者は表情や視線、動作、身だしなみ、声の調子や大きさなどが該当する。
本心や感情は非言語のメッセージとして表れるので、それを観察すれば相手の心理を見抜くことは可能。例えば食事に誘ってみた直後、0.1秒後のリアクションが嬉しそうであれば、その人はあなたに好意的である。直後の反応は、扁桃体による本能的な判断なので、訓練された人でない限りは誤魔化すことができない。

親子問題

親が子の言動にいちいち口を出してくるのは、単に子を愛しているから。なので「(自分のことを気遣ってくれて)ありがとう」と言っておけばいい。
ただし、親のアドバイスというのは、親の常識、知識、経験を元にしているため、30年古い。「ありがとう」とは言うが、スルーするのが正しい対処法。

夫婦関係

転勤や転職でリセットされる職場の人間関係と、何十年も続く夫婦関係、どちらが重要かは言うまでもない。にもかかわらず、職場にエネルギーと時間を費やして、夫婦関係は二の次にしている人が多い。
食事の時間などを利用して、1日最低30分は夫婦の対話の時間を捻出すべき。妻は噂話や悪口ではなく、自分の体験や感情について話すこと、夫はその話を真剣に聞くことを心がける。

介護

親がいる限りは、介護の問題、それによるストレスは避けられない。ただし、介護生活を予防するのはそれほど難しいことではない。
骨折などの場合は別として、老人が健康な状態からいきなり要介護状態へ以降することはまずなく、大抵は健康→プルフレイル(前虚弱)→フレイル(虚弱)→要介護、と段階を踏んで悪化する。つまり、要介護を防ぐには、フレイルを防げばいい。
フレイルを防ぐには、1日20分の運動(厳しいなら5分,10分の散歩でも)、バランスの良い食事をきちんと噛んで食べること、社会とのつながりを持つことが効果的。

もし親などが要介護状態になってしまったら、とにかく介護を「全力でやらない」「1人でやらない」ということに気をつける。

仕事

ここでは仕事に関するストレス対策について解説する。

職場の人間関係

「職場の人間関係が悪い」というのはよく聞く話だが、そもそも職場の人間関係は悪いのが普通である。Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏が「2枚のピザ理論(ピザ2枚で空腹を満たすことができない人数で会議をしてはならない)」を唱えているように、チームワークが成立するのは5~8人程度。それを超える人数の会社に、自分と合わない人がいるのは当然の話である。

職場では「良き相談相手」1人と、キーマンと良好な関係を築くことに徹し、あとは仕事で成果を出すことだけに集中していればいい。

仕事が楽しくない

それも当たり前。どんな職業でも、仕事を一通り覚えるまでは修行の期間。それを終えて、自己流の工夫や応用をする段階になって初めて楽しくなる可能性が生まれる。
もちろん、つらいのを我慢し続けて病気になるのは絶対に避けるべき。現実的には、スキルを身につける段階まで勤めてから辞めると転職で有利になる。

また、転職する前に相談しておくと、会社から譲歩が引き出せる可能性もある。引き出せなくても、どうせ辞める会社なのだから、とりあえず相談しておいて損はない。

集中力を高める

やる気にスイッチが入るのには時間がかかる。脳の「側坐核」という部分は、ある程度の刺激が加わると活動を始め、それによってドーパミンが分泌されてやる気が湧いてくる。したがって、やる気がでなくとも、とりあえず何かを始めて刺激を与えるのが有効な手段。あるいは、パワーポーズ(ガッツポーズをして「うぉー!」と絶叫する)でアドレナリンの分泌を促したり、「認知的不協和」を応用し、「今から仕事を始めるぞ」と声に出して宣言するのもいい。

ただし、それでも簡単な仕事すら全く手につかないようなら、脳疲労が問題の可能性がある。睡眠不足、運動不足、過度のストレスのいずれかが原因であることが考えられるので、その対策をするべき。

仕事が覚えられない

仕事が覚えられないのは、話を聞いているようで、全然頭に入っていないから。言われたことをその場で逐一メモして聞き漏らしをなくすこと、わからないときに「わかりました」とは絶対に言わず、できる限り早く質問や確認を行うことが大切。

評価されない

人はある特性や能力において、自分は平均以上だと自己評価する傾向がある(平均点以上効果)ので、自己評価よりも上司や会社からの自分への評価は低くなりやすい。

評価がされない理由は実力不足以外の何でもない。実力不足とは、勉強や自己成長が不足しているということ。マニュアルどおりに仕事をこなすのは、会社からすれば及第点にすぎない。ダラダラとスマホをいじっている時間を読書などに充て、プラスアルファの勉強をしておくことが他者からの評価につながる。

副業

副業はお金以外にも承認欲求や自己実現欲求が満たされる可能性があるなど、メリットが多い。世の中の流れも、副業を認める方向にシフトしつつある。

おすすめの副業はインターネットを使った副業。肉体的な疲れが少ないので年齢を問わずできるし、時間や場所に縛られないのも魅力。逆に、飲食店やコンビニは働いた時間をお金に変換しているだけで、軌道に乗れば勝手にお金が入るということもなく、本業に支障が出る可能性が高いので、副業としてはおすすめできない。

まずは「副業」として始め、起動に乗ってきたら「個人事業主」→「会社設立」とステップアップさせるのが理想。一般的に、年収1,000万円を超えると、会社を設立したほうが節税のメリットが大きいと言われている。

健康

ここでは健康に関するストレス対策について解説する。

睡眠

睡眠不足は、病気になる、仕事のパフォーマンスが下がる、太りやすくなるといったデメリットがある。最低7時間の睡眠を確保するように心がけるべき。さらに、睡眠の時間だけでなく、質の向上にも気を配りたい。寝る前にスマホやPC、蛍光灯のブルーライトを浴びるのを避けたり、飲酒や寝る直前の食事をやめたり、興奮するような娯楽を避けるのが有効。
なお、本ブログでも取り上げた『スタンフォード式 最高の睡眠』が、睡眠の質を上げるための専門書として紹介されている。

運動

中程度の運動を週150分行うだけで、主要な疾患のリスクを30~60%減らすことができるし、ごく軽度の運動をするだけでも死亡率は30%減少する。さらに、「頭が良くなる」「仕事力が上がる」「感情が安定する」など、運動のメリットはすさまじい。

時間がないから運動できないという人はたくさんいるが、日常生活で取り入れられる運動はたくさんある。例えば、早歩きでの通勤、エスカレーターではなく階段を使う、ランチは離れた店に歩いていくなどがスキマ時間でできる効果的な運動。もちろん、30分以上のまとまった時間で運動をした方が効果は高いが、しないよりは少しでもした方が健康には遥かに良い。

さらに運動の効果を上げるのであれば、有酸素運動前に無酸素運動を行う、複雑で頭を使う運動を取り入れるといったことを心がけるといい。ただし、重度の運動を継続すると、軽度の運動を行うよりもむしろ死亡率が上がるので、やりすぎには注意。

食事

数多くの研究によって、いくつかの食品と健康の関係性が明らかになっているので、参考にしたい。

健康にいい食品 魚、野菜と果物、茶色い炭水化物(玄米や全粒粉パン)、オリーブオイル、ナッツ類
健康にいいかもしれない食品 ダークチョコレート、納豆、コーヒー、お茶、ヨーグルト、投入、酢
健康に悪いかもしれない食品 マヨネーズ、マーガリン、フルーツジュース
健康に悪い食品 牛肉や豚肉などの赤い肉、加工肉、白い炭水化物(じゃがいもを含む)、バターなどの飽和脂肪酸

ところで、いつの時代も必ず提唱されているダイエットだが、健康という観点で言えば「やせ」は良いとは言えない。日本肥満学会による基準で、長生きする順に体型を並べると「プチ肥満」「普通」「やせ」「過度の肥満」となる。プチ肥満に関しては諸説あるが、少なくとも「やせ」が「プチ肥満」や「普通」より健康に悪いことを多くの研究が示している。
また、運動しない普通の人よりも運動する肥満の人のほうが健康的であることもわかっている。

メンタル

ここでは、心を整える方法について解説する。

自分を変える

「自分を変える」と言っても、性格を変える必要はない。変えるべきは性格ではなく、行動である。
不安を行動で取り除く」で触れたように、行動することでネガティブな気分は払拭できる。

寝る前15分以内に、その日あったポジティブな出来事を3行にまとめて日記を書くということをすると、自分の長所に目がいきやすくなり、ポジティブ思考が鍛えられる。さらに、3行ポジティブの前に1行ネガティブと、それに対する自己フォロー(思い浮かばなければ「今の自分でOK」「それでいい」などでも良い)を書くと、自己肯定感を高める訓練にもなる。

緊張

「緊張しやすい」は多くの人が抱える悩みだが、全く緊張しないよりも、ある程度の緊張があった方が実はパフォーマンスは上がる。「緊張してきた」と思ったら「パフォーマンスが上がってきた」と口に出して言ってみればいい。

過度の緊張をするようであれば、原因の一つとして睡眠不足が考えられるので、普段から7時間以上の睡眠を取るように心がけるべき。
そうは言っても今既に緊張してしまっていて、早急になんとかしたいという場合には、深呼吸(5秒で吸って10~20秒で吐くのを3セット)をする、背筋を伸ばす、笑顔を作るといった行動が即効性のある対策となる。

怒り

「怒り」の正体は、「アドレナリン分泌」と「交感神経の興奮」なので、アドレナリンと交感神経をコントロールできれば怒りは収まる。

まずは、怒りを感じた時点で、「今、自分は怒っている」と心の中でつぶやき、怒っている自分を客観視する。周りに相手がいなければ口に出してもいい。次にアドレナリン分泌のピークである最初の6秒間をやり過ごすため、1から6までをゆっくりとカウントしたり、目の前に見えている物の名前を列挙したりする。ピークを過ぎたら、アドレナリンが半減する20~40秒をやり過ごすために、深呼吸を2セット繰り返す。深呼吸は副交感神経を優位にする効果もあるので、怒りを感じそうになる場面で予防的に行うのも効果がある。

怒っている相手に対しては、相手のペースに巻き込まれないように、普段より3割ほどペースを落とした会話を心がける。相手のペースに乗ると、怒りの応酬になってしまうので注意。

嫌なことを忘れる

短期間に3回のアウトプットを行うと記憶は定着しやすい(インプットについての詳細は本書著者による書籍『学び効率が最大化するインプット大全』を参照)
逆に言えば、短期間に3回のアウトプットをしないように気をつければ、嫌なことは記憶に定着しない。3回しなければ大丈夫なので、嫌なことは一番の友人に1回だけ話して終わりにするようにすればストレス発散にもなる。また、先述の「3行ポジティブ日記」も有効。

うつかもしれないとき

まず、病院に行こうかどうしようかと悩んでいるくらいなら、すぐに受診すべき。うつ病は、治療を始めるのが早いほど短期間で症状が改善する。

うつ病の症状は多岐にわたり、素人には判断が難しいため、まずは以下の2点に当てはまるかを考えるといい。

  • この1ヶ月間、気分が沈んだり、憂鬱な気持ちになったりすることがよくあったか。
  • この1ヶ月間、どうも物事に対して興味が湧かない、あるいは、心から楽しめない感じがよくあったか。

さらに、メンタル疾患が疑われる場合には、以下の項目をチェックする。

  1. 1週間前と比べて症状が悪化している
  2. 睡眠の質や時間が悪化している
  3. 一生の中で「今」が一番調子が悪い
  4. 会社や学校を何日か休んでいる

2項目以上当てはまった人や、3か4に当てはまった人は病院を受診した方がいい。

実際にメンタル疾患になってしまった場合だが、100%元の状態に回復するのは難しい。それでも完全に治そうとすると逆にプレッシャーを感じて悪化してしまう。
病気だという状態を受け入れ、睡眠・運動・朝散歩・禁酒禁煙を徹底することが回復への近道。

まとめ

人生において多くの人が抱くであろう悩み・不安・疲れについて、そのメカニズムと解決法に関する詳細な解説がされた一冊だった。ストレスに関する本は数多く出版されているが、本書は「結局何をすればいいのか」という問いに対して、明確な答えを用意しているという点が優れている。行動ベースでの知識を取り入れたい人に特におすすめしたい。

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