2018年8月に初版が発行された本。
著者の樺沢紫苑氏は、精神科医として働く傍ら、これまでに数十冊もの著書を執筆してきた作家としても知られており、さらにYoutubeやメルマガなども運営している「日本一アウトプットする精神科医」
本書は、筆者が自らの経験を元に、成果が出るアウトプットの方法について詳細に解説したものである。
ページ数はあとがきまで含めて約270ページ。文量は多いが「日本一」なだけあり、内容が飲み込みやすく、スラスラと読める構成になっている。
なお、後に出版され、本書と対の存在になっている『学び効率が最大化するインプット大全』については、以下の記事で紹介している。
本記事では重要な部分を抽出してまとめている。
アウトプットの定義
アウトプットとは、脳内に入ってきた(インプットした)情報を処理し、外界に出力すること。具体的な行動としては「話す」「書く」「行動する」があげられる。
インプットするだけでは、変わるのは自分の脳内だけだが、アウトプットすることにより、現実の世界に影響を及ぼすことができる。
アウトプットのメリット6つ
アウトプットには6つのメリットがある。
- 記憶に残る
- 行動が変わる
- 現実が変わる
- 自己成長する
- 楽しい
- 結果が出る
アウトプットのコツ
以下のことを覚えて実践すると、アウトプットの効果はさらに高まる。
- 「話す」「書く」を2週間に3回以上繰り返すと、長期記憶される
- インプットとアウトプットは必ずセットで行う
- 上記の比率は時間ベースで3:7がベスト
- アウトプットからフィードバックを得て、次に活かす
トレーニング法
日常の中で気軽に行えるアウトプットのトレーニング法について以下に記す。
日記を書く
毎日、その日あったポジティブな出来事を3つ書く。はじめのうちは、5分以内で3行だけ書けば良く、慣れてきたら少しずつ長文を書くようにする。ただし、長文を書くとしても10分以上はかけないようにする。慣れてきたら、SNS上など、見られる場に書くようにした方が、文章力の上達スピードは上がる。
健康について記録する
朝起きたら、「気分」「体重」「睡眠時間」を手帳などに記録する。何か気づいたことがあれば、それもフィードバックとして記録しておく。
読書感想を書く
シンプルで構わないので、本を読む前の自分はどうだったのか、本を読んで得た気付き、読み終わった後何を実践していくのか、について書き記す。
情報発信する
ネットで情報発信をすることには、メリットが非常に多い。アウトプット力や周囲からの評価が上がるし、それによって人が集まってきたり、仕事に依頼が来たりする。
SNSに書く
ブログなどの情報発信をいきなり始めるのはハードルが高いという人は、SNSで毎日の発信から始めるのがおすすめ。ただし、個人情報や炎上リスクなど、基本的なネットリテラシーは身につけておかなければならない。
ブログを書く
ブログには、SNSよりもシェアされやすく、Googleアナリティクスとの連動によってフィードバックが得やすいというメリットがある。将来的に収入を得たい人は、独自ドメインを取得し、Wordpressなどを使うのがおすすめ。
また、アクセス数が大きくアップする目安は、100記事、300記事、1,000記事。毎日1記事投稿しても、1,000記事には約3年かかるので、途中で投げ出さずに3年は続けるようにする。
趣味について書く
書く題材が思いつかない人は、趣味について書くのがおすすめ。自分の得意な分野について、マニアックな記事を書くと反応が高い。記事を書く際には、必ず自分の感想や意見を入れて、読者の感情にアプローチすることを心がける。
話す
ここからは、「話す」「書く」「行動する」それぞれについて、コツをまとめる。
- 事実だけでなく、感想や気付きを話す
- ネガティブなことは言わない
- 表情など、非言語コミュニケーションにも気を配る
- 相手の目(の間)を見る
- 悪いことを伝えるときでも、「Yes And 話法」や「Yes How 話法」を用いて、先に良いことを伝える
- 自分から笑顔で挨拶する
- 1回の長い雑談より、複数回の短い雑談の方が親密になれる
- 「何を学びたいのか」と自分に問う
- セミナーなどを聞くなら、何を質問するか考えながら聞く
- 自分のルールに反すること、嫌なことははっきり断る
- 悩んだら、早めに誰かに相談する
- 親友は3人、強い絆でも15人いれば十分
- ほめる際は、具体的かつ細かな行動を積極的にほめる
- 叱る際は、感情をぶつけず、失敗原因や対策についてフィードバックをする
- 信頼関係を築けてない相手を叱るのは逆効果
- 円滑な関係のため、すぐに謝る
- 堂々と、結論から、シンプルに話す
- 大学名や研究結果、数値を示すと説得力が上がる
- 営業は、商品によって相手にどんなメリットが生まれるのかを説明する
- 自分から「ありがとう」を言う
書く
- タイピングよりも手書きの方が勉強効果は高い
- 読書の際は気付きを本に直接書き込む
- インプットの直後に書き出すのがベスト
- 落書きは記憶力を高める
- 制限時間を設け、構成を決めてから書くと速い
- キーボードはどの環境でも同じものを使い、Google日本語入力、単語登録、ショートカットキーを活用する
- 朝一番に紙ベースのTO DOリストを作成する(スマホは使わない)
- 何か思いついたら30秒以内にメモをとる
- セミナーや会議の気付き(≠板書)を、ノートの見開き2ページに時系列でまとめる
- アイデア出しの段階では紙とペンを使うほうがいい
- プレゼンスライドは、ノートのアイデア出し→Wordのアウトライン(1行がスライド1枚のイメージ)→PowerPointの順で作るほうが結果的に速い
- 引用するときのために、普段から論文、新聞、ニュースなどをストックしておく
- 引用元を探すならGoogle Scholar、Googleブックス、PubMedがおすすめ
- Twitterは140字制限があるので、要約力を鍛えるのに役立つ
- 目標は、少し難しめで、期限付きで設定し、TO DOに落とし込む
- 文字だけでなく、絵を交えたほうが記憶に残りやすい
行動する
- 人に教えるのは最高効率のアウトプット
- マルチタスクはむしろ非効率なので、眼前のひとつのことに集中する
- 楽しいと思えるレベルの目標を設定し、徐々にハードルを上げるのがコツ
- とりあえず5分やってみればやる気は湧いてくる
- 「楽しい」と感じると、記憶力とモチベーションがアップする
- つらさは、文章や言葉で表現すると軽減される
- まずは30点で手早く仕上げ、ブラッシュアップを繰り返して100点を目指す
- 笑顔は、記憶力向上、ストレス緩和など、多大なメリットがある
- 映画などを観て泣くことで、ストレス発散効果が得られる
- 7時間/日の睡眠は何が何でも確保する
- 1回1時間、週2回の運動で脳が活性化する
- 通勤などのスキマ時間をアウトプットのために有効利用する
まとめ
アウトプットの具体的な方法や、それで得られるメリットについて、余すことなく解説された一冊だった。読書術など、インプットに特化した本は数多く出版されているが、アウトプットに焦点を絞った書籍は珍しく、その点で独自性がある。
本記事では割愛しているが、書籍内では、各アウトプット方法について、手順やメリットが詳細に解説されているので、そのあたりが気になる方には手にとってみることをおすすめしたい。
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